第三百七十章・男一人に女三人の対決!〈前編〉
仕事から帰ってきました。更新します。
第三百七十章・男一人に女三人の対決!〈前編〉
イーゼルがまず、ミサイル魔法を放った。
三本のミサイルがスライめがけて飛んでいく。
あの攻撃で、オダブツだ!
仏教徒ではないが。
しかし、立ったままのスライは、ミサイルを直で食らっても、全然平気そうだった。
「俺に魔法の類は通じない」
魔法に耐性のある奴か!
スライは長剣を鞘から抜いた。
長剣は日の光に照らされて、輝いていた。
「長剣のスライ。この剣で俺は戦う。女とて容赦はしない。俺は過去に女にひどい目に遭わされたからな」
微妙な自分の過去を語ってんじゃないよ。
てか、イケメンも大変だな。
女にひどい目に遭わされたとか、俺と同類だなと言ったら、あいつキレるかもな。
「なぁ、何で女にひどい目に遭わされたんだ?」
俺は何気なく訊いてみる。
「俺は女と付き合ったことが一度だけあるが、その女は恐ろしい女だった。馬車を走らせている時に、道を譲り合うのが礼儀なのに、その女はマナーがなっていなくてな。横はいりされた時、チッ!とか言って、『事故れ、カスが!』と怒鳴ったりしたのだ。俺が道の譲り合いはマナーの一つだと言っても、全然聞かなくてな」
なんだそれ?
交通マナーがなってないというのか?
まぁ、ありそうな話ではあるが。
「それに、男に振られそうな友人の女子の相談を受けた俺が、付き合ってたその女に、さらに相談して、その子のことをいろいろ話したら、『逆にフッちまえばよかったのに、自分から。別れる時は、相手を苦しめて、苦痛を遭わせるのがベストなのに。わたしならそうするわ』とか言ってきて、俺と別れる時、本当に俺のことを苦しめて、その言葉を現実のものにするように、ゴミのように捨てられ、振られたのだ!」
それはヒドい話だな。
同情するわ、それ。
てか、どういうカミングアウトなんだ?
「ああ、女が憎い!」
いかん。イケメンがヘタレに見えてきた‥‥‥。
これはどうする?
「くそ~。チクショウ!思い出したら悲しくなってきた。オイ、俺は手加減はしないぞ!」
女がらみで辛い思いをした騎士よ。
いや、今は用心棒か。
戦いに私情を挟んでレベルアップするとかしないでくれよ~。
どっちにしても悲しいだけだから。
コマドリは忍者刀を逆手に構えた。
「気を付けろ!この男は女に裏切られた狂いし化け物だ!」
言い方!
俺は両手を合わせて、祈った。
これ以上、スライに辛い恋愛が、フラッシュバックしないように、と。
「よし、思う存分暴れてみろ、スライ!」
俺は大声でスライに叫んだ。
「くっそ~、ぶっ潰してやる!女は皆、ぶっ潰してやるよ、コンチクショウ!」
スライが泣きながら長剣を振りかぶり、コマドリに向かって突撃してきた。
「純情な顔して恐ろしい女よ。まずはお前からだ!」
「振った女って、わたしに似てるのか?」
コマドリは忍者刀を構えたまま、大振りの長剣を、ヒラリとかわした。
声東撃西という言葉があるな。
あっちを攻撃するように見せかけて、こっちから攻撃する。
兵法第六計だ。
コマドリを追うように、長剣が横に薙ぐ。
その時、ルルチェとイーゼルが、スライのがら空きの背中に、物理で攻撃してきたのだ。
ダブルキックで、スライの体が飛ぶ。
「ぐわぁ!」
そのまま地面に倒れるスライ。
しかし、すぐに起き上がって態勢を立て直された。
「あいつ、出来るぞ!」
俺は叫んだ。
愛ゆえに歪んだプライドの塊のような騎士だ!
倒すしかない。
読者の皆さんに感謝を!!