第三百六十三章・新しい出会い?になればいいけど。〈後編〉
引き続き、ご感想やレビューも待っています!!
第三百六十三章・新しい出会い?になればいいけど。〈後編〉
そう思ったすぐ後に、川に大きな木彫りの船が、下ってくるのを俺たちは見た。
「何だ、アレ?」
船は河原で泊まった。
荒くれな男たちが、船から下りてくる。
「な、何だ?」
俺たちは警戒した。
相手は斧やモーニングスターで武装している。
「だ、誰だ、あんたらは?」
俺が先頭に立ち、身構える。
「我々はこの土地ではバイキングと呼ばれている、海賊集団だ。お前たちは我々の土地で何をしている?」
リーダーと思しき大男が、俺たちに話しかけてきた。
バイキングだと?
俺のいた世界で言う、食べ放題の‥‥‥、いや、北欧の海賊のアノ?
敵意は見せていないが、歓迎されてもいないようだ。
どうする?
と、俺たちの後ろにいた少年が、リーダーと思しき大男の元へ走って行った。
「父ちゃん、あの人たちが僕をカウリ族から助けてくれたんだよ」
「何、本当か?」
「うん!すっごく強かった」
「そ、そうか」
* * *
日が暮れると、俺たちはバイキングの連中に、手厚くもてなされた。
普段は洞窟に住んでいるらしい。
洞窟の外で、キャンプファイヤーをしながら、俺たちは異文化交流をしていた。
こういうのって、映画とかではちょくちょく描かれる場面だ。
まぁ、アリかな。
「飲め、食え、歌え!燃やせ!殴れ!」
こいつらは、俺たちをダシに、どんちゃん騒ぎを楽しんでいるようだった。
最後の「殴れ!」は、どうかと思うが‥‥‥。
食事はというと、実にプリミティブなものだった。
「ここに住んでるのか、族長?」
族長のケンブは、大男で、茶色の髭がたくましかった。
「まぁ、我々のねぐらだな。漁や猟をする時は、数週間帰らん時もある。それと、俺のことはケンブと呼べ」
「へー」
まさしくバイキングって感じだった。
「俺はリューイチだ。名刺持ってなくて悪かったな」
「名刺?」
「いや、忘れてくれ。この世界では通じないジョークのようだし」
「で、お前さんたちは息子の恩人だ。というか、我々の跡継ぎになる子を助けてくれたんだ。我々バイキングの恩人とも言えよう」
「そんな大層な‥‥‥」
「ははは。まぁ、酒でも飲め」
俺は木で出来たコップを渡され、どっぷりと酒を注がれる。
「それで、ちょっと訊きたいんだけど、この山にはライフルの密造工場があるだろ?」
「うん?お前さんたちは一体‥‥‥?」
「俺たちは冒険者だ」
「冒険者?そういえば、そのへんてこりんなナリ‥‥‥。なぜ50年前に魔王が討伐されたってのに、冒険などしているんだ?時代はもう変わってるぞ?」
最近思うことだが、魔王がいないからって、普通にモンスターや魔族には出会ってるぞ?
魔王不在だから、逆にモンスターたちが自由に闊歩しているだけか?
まぁ、そういうのはツッコんだら負けか‥‥‥。
俺は黙ってることにした。
読者の皆様に幸あれ!!