第三百五十七章・ブランカロルドの洞窟
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第三百五十七章・ブランカロルドの洞窟
翌日、俺はアビゲイルを宿に残し、他の皆と一緒に北へ向かった。
地図によると、北の方にカピーナ・テュルユークのアジト兼ライフル密造工場はあるということだった。
「宿にアビゲイルを留守番させておいて大丈夫だったかな?」
俺はルルチェに訊いた。
「そういう約束だったからね」
「まぁ、そうだけどな」
「戦いには巻き込めないわ」
「そうだな」
俺たち一行は、歩いて地図の通りに進んだ。
「この先には洞窟があるみたいだぞ」
俺は地図をルルチェに見せた。
「この洞窟を抜けないとね」
「またダンジョンか?」
「洞窟イコール、ダンジョンと考えてもいいと思うわ」
「またモンスターがいるんじゃないのか?」
「それも同じ。ダンジョンイコール、モンスターと考えていた方がいいわよ」
「その理屈は分かるが‥‥‥」
「その時その時で、戦いになったら戦うでいいんじゃない?」
「楽観主義だなー」
「杞憂って言葉を知ってる、リューイチ?」
「杞憂か‥‥‥」
「そうそう。人生はね、その時その時を一生懸命生きれば、それでいいの!」
「子のため孫のため理論じゃないのかよ?」
「それは勇者様たちが、50年後のわたしたちのために、魔王を倒してくれたみたいに、その時代に誰かが出来ることをやれば、いいんじゃないの?」
「そう来るか」
「そう来るのよ!」
「やっぱり楽観主義だな」
「刹那主義よ」
「なるほどね」
しばらく行くと、風の通りのいい原っぱに出た。
風が寒い。
「冷えるな」
俺は少し体を震わせた。
「もう季節が変わるからね」
ルルチェは風を浴びながら、答える。
「今は冬か?」
「この寒さは冬ね。冬の終わりにわたしの誕生日が来るけどね」
「ルルチェの誕生日?」
「ええ。わたしは春頃に生まれたのよ」
「てか、今の暦ってどうなってるんだ?俺がこの世界に来た時から考えて、一年くらいは経っているのか?」
「リューイチが来たのとかは知らないけど、出会ったのは去年の春頃のはずよ」
「何年だ?」
「え?」
「それって何年なんだ?」
「出会ったのは幻歴1851年の4月くらいよ」
「よく覚えてるな‥‥‥てか、幻歴?」
「ええ。わたしが賢者としての修行を終えたのも、その頃だったからね」
「なるほどなぁ。そういえばその頃だったもんな」
「と、喋ってるうちに洞窟に着いたわよ」
「え?」
目の前にはブランカロルドの洞窟があった。
どこにでもあるような洞穴があった。
「ここを入るのか?」
「もちろん!冒険よ!」
冒険って‥‥‥。
まぁ、いいか。
楽観的に洞窟に入るのは危険極まりないことだと、俺は思った。
俺はルルチェとは違うのだ。
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