第三百四十五章・クラ・ナーア・ウ・リダ
今日は暖かいですね。日向ぼっこしたい気分です。
第三百四十五章・クラ・ナーア・ウ・リダ
「ここでは王都にいる金持ちだけが裕福な思いをして、地方は貧困に喘いでいるそうですね」
ルルチェがクラ・ナーア・ウ・リダに言った。
「弱き者は淘汰されて当然では?」
平気なツラして言い返したクラ・ナーア・ウ・リダ。
「それは政治を放棄してます!」
ルルチェも熱が入ったようだ。
まぁ、仕方がない。ルルチェはダ・ガールでの貧富の差を解消するために、走り回るような姫なのだ。
それにこいつは、弱い者を放ってはおけない性格だ。
「リダ様、あなたは援助されたお金や食料を何に使っているのですか?」
「もちろん、この国の繁栄のために使っているのです」
「ア・レーアへの進軍のために使ってるんじゃありませんか?」
「まぁ、わたしたちのことはお見通しなのですね?」
「やっぱりそうですか」
「ええ。軍事力に力を入れています」
「戦争をお望みなのですか?」
「この国が潤うのなら」
「そんな勝手な!」
「そんなにうまくいくとは思ってはいませんよ、ルルチェ姫。実際、逃亡兵もたくさん出てきているのですから」
「なら‥‥‥」
「当然、逃げた者は死刑ですし、その家族は収容所送りにしてますが」
「な、何てことを!」
収容所ってのは、実際にあるみたいだな。
強制収容所か‥‥‥。
聞きたくもないところだ。
「それなら、要はリダ様が失脚すれば、解決するということでしょうか?」
ルルチェの奴、何ケンカ売ってんだ?
「なるほど、わたしをこの玉座から引きずり降ろせば、問題は解決すると?」
「そう思います」
「ほう。でもそれではダメです」
「どういうことですか?」
「わたしが玉座から下りても、また違う人がここに座る。それの繰り返し。姫なら分かるでしょう?」
「そんな!」
「それが現実です」
クラ・ナーア・ウ・リダは笑みを見せた。
ムッとするルルチェ。
「それを分かれと?」
「そうです。政治にも限界があるのです。特にこの国のような貧しい国は」
「言っても無駄なのですね」
「そう理解されてもけっこうですよ、姫」
「そんな独裁的な政治を行うのも、限界があると思います。それに援助金や食料物資を凍結させることも出来るんですよ。それでも構わないんですか?」
「経済制裁をすると言うのことですか、ルルチェ姫?」
「ええ。必要なら、そう隣国へ伝えます」
「ならば、戦争です」
クラ・ナーア・ウ・リダは立ち上がった。
「戦の準備は整っています!」
「血を流すのは、リダ様ではないはず!」
ルルチェは口調を強めた。
「争いは好みません、絶対に!」
まるで国会中継を見てるようだ。
政治って難しいんだな。
だが、一つだけやれることがあると、俺は分かった。
収容所は潰す!
必ず潰す!!
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