第三百四十四章・クラ・ナーア城
昨日はあまり眠れませんでした。ストレスが溜まっているんでしょうか?
第三百四十四章・クラ・ナーア城
「リューイチ、そなたが前に言っていた、アポなし突撃何とかってやつで、入ることは出来ないのか?」
コマドリがそう言った。
「アポなし突撃取材な。あれをここでやるのは危険な気がする」
「そうなのか?」
アビゲイルが前に出ようとする。
「ここはアビーに任せるのだ。相手が来いと言ってきたのだから、ためらうことがどこにあるのだ?」
「大丈夫か?戦いになったら困るぞ?」
「任せろ、冒険者!」
ガッツポーズを取るアビゲイル。そして門のそばへと走って行った。
俺たちから離れたところで、アビゲイルは門を守っていた軍人に話しかけていた。
少ししてから、アビゲイルは戻ってくる。
「あいつは書簡を持った者しか入れられないとか言いやがったのだ。アビーをバカにしているのだ。あとで八つに裂いでやるのだ。八つに裂いたあとで火にかけて燃やしてやるのだ。そしてその亡骸を海に捨てて魚の餌にするのだ。許せないのだ!絶対に許せないのだ」
どんだけ怒ったのかは分からないが、かなり絞られたらしい。
まぁ、そういうこともあるだろうな。
アビゲイルは一応、アンジェリカ・プラットの右腕的な存在なのだけどな。
その設定、どこに行ったんだ?
俺はアビゲイルに代わって、城の門のところにいた軍人に話しかける。
「よう。俺たちはクレメント州のアンジェリカ・プラット州知事の使いで来た、冒険者のリューイチと、その一行だ。至急クラ・ナーアの王女に取り次ぎたい」
「な、何だと?」
軍人は驚く。
「そこで待っていろ。いや、待っていてください」
軍人は門を開けて、城の中に入っていく。
また戦争になるのは気が引けるなぁ。
話し合いで解決したいなぁ。
相手はモンスターじゃないし‥‥‥。
しばらくすると、城内に入ってもいいと許しが出た。
「さぁ、吉と出るか、凶と出るか。行くぜ!」
西郷隆盛と勝海舟の会談により、江戸城は無血開城になった。それを真似たい。
俺たちはクラ・ナーア・ウ・リダのところへと連れて行かれた。
玉間には、中年の女が着飾って座っていた。
「あなたたちが冒険者の方たちなのですね?」
「おう、そうだよ。俺はリューイチ」
俺は名乗り出る。
「ダ・ガールの直属の冒険者ってとこか」
「まぁ、ダ・ガールの?」
「ああ。そしてここにいるのは、ダ・ガールの姫、ダ・ガール・フォー・ルルチェだ」
俺はルルチェの手を引いて、前に出した。
「ちょっとリューイチ!」
「いいだろ?」
「は、はい。わたしはダ・ガール・フォー・ルルチェ。ダ・ガールの姫にして、賢者の道を極めた者です」
「丁寧な挨拶をありがとう」
「いえ」
「それで、他の方たちは魔女さんと忍者のような格好の子ですね」
「はい。仲間です」
「こんな季節にここに来るとは、とても寒かったでしょう?」
「そんなことはありませんよ」
「そう」
クラ・ナーア・ウ・リダの態度は余裕だった。
暴君には見えない。
だが、見た目に騙されてはいけない。
あの態度から、独裁的な匂いは消せない。
消せはしないのだ!
読者の皆様に幸あれ!!