第三百四十章・山里にはレジスタンス?
今の時期、朝は寒いですね。
第三百四十章・山里にはレジスタンス?
俺は聖なる剣を頂戴していた。もう俺の物だ。
こんな伝説級の剣が手に入るなんて、儲けもんだ。
さて、クラ・ナーアの田園地帯には、ぽつりぽつりと人がいた。
確かに貧しい人たちのようだ。
まったく、救われない人たちだよ。
独裁政権下では、国民はこんなに不遇な目に遭っているのか。
憤りを感じる。
「なぁ、クラ・ナーア・ウ・リダとかいう女王をどうにかすれば、この国は変わると思うか?」
ルルチェが、「それは政治次第よ」と、言った。
「政治か‥‥‥」
「わたしの出番のようね」
ルルチェは張り切っていた。
こういう時、ルルチェはやる気全開になる。
「それはお前に任せるよ、ルルチェ」
「合点承知!」
合点承知って、今日び聞かないぞ?
「アビゲイル、王都まであとどのくらいだ?」
「山を一つ越えなければならないのだ」
「山?」
「そうなのだ。山に道は続いているのだ」
「モンスターは出ないのか?」
「モンスターはいないと思うが、クラ・ナーア・ウ・リダに反発するレジスタンスが潜んでいることはアビーたちも知っているのだ」
「レジスタンスか。どこも同じだな」
「何か言ったのか?」
「いや、別に」
独裁にはレジスタンス、これはどこでも同じだ。
馬車はずっと先を進んで行く。
やはりというか、山道に入ると、峠を通り、山の中に入っていった。
もう夕暮れだ。
「山で野宿はこの季節、キツイな」
俺は皆に言った。
「もうすぐ山里のそばを通るのだ。怪しまれないようにしろ」
アビゲイルは警戒するように、辺りを見渡して、言う。
日が暮れて、夜になると、山は静かになっていくが、何かの気配だけは残っていた。
と、突然林の中から、武装した連中が、俺たちの馬車を囲んだ。
「出てきやがったな、レジスタンス」
俺は馬車を降りた。
「はいはい、皆さん。俺たちは味方だよ。クラ・ナーア・ウ・リダを一緒に政権から引きずり降ろそうよ」
レジスタンスたちは俺たちを見回した。
「お前たちは誰なんだ?」
ルルチェも馬車を降りた。
「助けに来たのよ。この国を救うために」
「な、何だと?」
「わたしたちの目的は、クラ・ナーア・ウ・リダの失脚よ。だから通して」
ルルチェは強く言った。
風邪など引かないように注意してください。