第三百三十九章・再び、クラ・ナーア王朝へ!って二度手間だよ。
今日はこれから出掛けますので、更新は本日ここまでです。
第三百三十九章・再び、クラ・ナーア王朝へ!って二度手間だよ。
完全に負けたアンジェリカ・プラットは、素直に負けを認めた。
「済まなかった。もう降参だ。勘弁してくれ」
まぁ、俺たちは勝ったのだ。
勝てば官軍負ければ賊軍だ。
「おい賊軍、クラ・ナーアが貧しいのは、実際に行って分かったが、併合させて救えるとは思わない。そのことを知るのもまた、政治なんじゃないか?」
「お、お前たちには分からない」
「そうか?」
「真の貧しさを知らないだけだ。クラ・ナーア・ウ・リダは自分たちだけ肥えているんだ」
なんか、また別の奴の名前が出てきたぞ?
「誰なんだそれ?」
「クラ・ナーアの王都にいる真の支配者だよ」
そんなのがいるのか。まったく‥‥‥。
ま、一応クラ・ナーアも王国だしな。
「それで、そいつとの外交をしていたってワケか?」
「そうだ。わたしは何度も食料物資を送ったり、援助金を送ったりしていたんだ。それでも民にはそれが届かず、全部王都が持っていったんだ。だから国を統合して、直接貧しいところを助けたかったんだ」
なるほど。
聞いたことがあるような話だ。
「そのクラ・ナーア・ウ・リダって奴が、女王なんだな?」
「ああ」
「なら、俺たちが行って、話を付けてこようじゃないか」
俺の言葉に、その場にいる全員が「えっ?」と言った。
「またクラ・ナーアへ行くのか、リューイチ」
コマドリたちが驚いていた。
「もちろん聖なる剣はもらったし、クレアスフィアも手に入れたけど、クラ・ナーアの現状もなんとかしてやれるんじゃないのか?」
「あなたは人が好過ぎるわ」
ルルチェも呆れている。
「ま、それも冒険者の仕事だろ?」
「それはどうかな?」
ルルチェはため息をついた。
「ま、リューイチがそう望むなら、手を貸さないでもないがな」
コマドリが言った。
俺のわがままかな?
その時、アビゲイルがやっとこさ、やって来た。
「話は聞かせてもらったのだ」
どこから聞いてたんだよ?
「クラ・ナーアへ行くなら、アビーが王都まで案内するのだ」
「お前、アンジェリカに裏切られたばっかりじゃないか?」
「それはそれ、これはこれ!アビーの故郷の問題はアビーも解決したいのだ!」
「なら、今度こそクラ・ナーアを案内させるか」
「何とでもするがいいのだ。アビーは協力を惜しまない」
「分かったよ。じゃあ、頼むぞ」
アビゲイルはアンジェリカ・プラットを見た。
「アビーは人を見る目が無かったのだ。でも、州知事には感謝もしている。アビーは一度、助けられたのだから」
それから俺たちは、アビゲイルの案内で、馬車で再びクラ・ナーアを目指して旅立った。
「アンジェリカ・プラット州知事は、見逃して良かったのですか?」
イーゼルが訊いてくる。
「ああ。あいつはもう失脚だよ。それより、イーゼルも戻って良かったよ」
「はい」
馬車はクラ・ナーアの王都に向かって、進んで行った。
読者の皆様に幸あれ!!