第三百二十九章・アビゲイルとともに‥‥‥。
新しい企画も順調(?)に進行中です。
第三百二十九章・アビゲイルとともに‥‥‥。
さて、イーゼルを助けるためにクラ・ナーアへ行くとするか。
「人質には人質だ」
俺の言葉に、ルルチェもコマドリも「?」な顔をした。
「リューイチ、誰を人質にするんだ?」
コマドリが訊いてくる。
「もちろん、アビゲイルだよ」
ロリっ子はこちらのカードとして連れて行く。
「アビゲイルはクラ・ナーアの収容所へ案内役として、俺たちと一緒に来てもらおうか」
アビゲイルは、ためらった。
「アビーを連れて行くのか?」
「ああ、お前にも責任があると、さっき言っただろう?」
「それはそうだけど‥‥‥」
「なら、案内しろ!」
「わ、分かったのだ。アビーが収容所の所員に魔女を渡したのだ。アビーの責任なのだ。だから、これ以上州知事をイジメるのはやめるのだ!」
イジメ?
俺たちはイジメをしているのか?
気が付かなかった。
「それは悪いことをしたな。でも、ちゃんとタイマンで決着をつけたのだから、お互い様なんだよ」
「確かに州知事が持ちかけた話だけどな‥‥‥」
「そうだろ?」
「本来、州知事はそんなに悪い人ではないのだ。アビーもクラ・ナーアの貧しい地域から来た者だから、優しさも知ってるのだ」
「そうかい」
「だから、これ以上の圧力はやめてもらいたいのだ」
「それはイーゼルを返してからだな」
「分かったのだ。収容所に案内するのだ」
「イーゼルを誘拐したことは事実だからな。もし、無事でなかったら‥‥‥」
少し間を置いてから、俺はニッコリと笑顔で言った。
「分かってるよな?」
ゴクリと唾を飲み込むアビゲイル。
「わ、分かった。馬車で案内する!その前に、魔女から取り上げた杖を返すのだ」
「杖?持ってこい!」
俺はイーゼルの杖を受け取った。
「ここにイーゼルがいればな」
俺はイーゼルの杖と、クレアスフィアと、聖なる剣と、念書を手に入れた。しかし、それ以上に大切な人を奪われてしまっていたのだ。
必ず助け出してみせるぞ、イーゼル!
俺の命に懸けて!!
目指すはクラ・ナーアの強制収容所だ。
イーゼルが到着する前に奪回してやる!
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