第三十二章・戦争にルールは無いんだぞ。
時間を見つけては、書いてます。
第三十二章・戦争にルールは無いんだぞ。
約4万の敵の軍勢が、城下に突入してきたのは午後になってからだった。
ちょうど昼食後の満腹で体力の有り余る頃合いだ。
ダ・ガール城からは、弓隊が一斉に矢を一万本ほど放つ。矢の狙いは最初の一個隊だった。
バタバタと、リタ・エールの兵隊たちが倒れる。
第二陣の弓隊が矢を放つ。それも敵兵隊が倒れた。
それでも敵の兵隊たちの攻める勢いは止まらなかった。
俺は城の城壁の通路に待機していた。そしてその攻勢を上から見ていた。これはすごい!
敵の動きが良く見える。一気に城へ攻め込むわけだな。
これが戦いだ。現実の戦いだ。しかもプリミティブな戦闘を感心して観ている。
敵も矢を射ってきた。
「伏せろ!」
俺は叫んだ。
矢が城に飛び込んでいく。ダ・ガール軍もやられる者たちが出た。
すぐさま城の中庭にいたルルチェが、ヒーリングで兵の傷を治す。
ルルチェの魔力が持てばいいが‥‥‥。
イーゼルも魔導書を開き、呪文を読み上げた。
「エーデルワンドラドカド・バーデルエンターラルフェルト・イン・ポイゼル!」
たちまち台風のような大風が起こり、リタ・エール軍の兵隊を巻き込んだ。
吹き飛ばされる敵の兵たち。
城壁にハシゴをかけてくる敵の軍勢。城壁を越える気だ。
ハシゴを登る敵兵たちを手裏剣やクナイを投げて、撃退するコマドリ。
コマドリもやるじゃないか!
俺も戦うか。マーシャル・ソードを抜き、剣を太陽に掲げて太陽光で敵の目をかく乱する。こういう使い方もあるんだなぁ、これ。
ひるむ敵を、城下の横に待機していたダ・ガールの突撃部隊が、リタ・エール軍に躍りかかる。兵隊たちと兵隊たちの合戦が始まる。
嫌な光景だなぁ。
でも、こんな物騒な光景もこの世界でしかお目にかかれない戦い方だ。
しっかり目を開けて観ていなければ!
戦争にルールなど無い。
これは戦いなのだ。キレイごとは通じない。
でも、俺は敵でも恨みなど無いし、襲ってくるからやるしかないという大義名分しかないのだ。これは自衛だ。イーゼルもコマドリもそれで戦っている。
自分を守るために俺も戦うだけさ。
でも、エルデが言ったように、確か最終的に殺したいのは、俺のことじゃないのか?
俺がコロシアムでエルデを負かしたから、プライドをへし折ったせいで俺を殺すために戦を仕掛けてきた気もする。
俺を差し出せば済むんじゃないのか?
この戦争の意味は無いのかもしれん。
ダ・ガールがそのことに気付いて、劣勢になったとして、俺を差し出そうとしたら、俺はどうする?
この戦い、負けられん。絶対に!
戦闘は二時間続いた。
イーゼルの台風に炎を混ぜた魔法がかなり効いていたと思う。
敵軍は劣勢になっていき、徐々に下がり始める。
けっこう敵の数も減ってきたようだ。でも、死人はそれほど出てないだろう。こちらは殺さないように気をつけながら攻撃しているのだ。
そろそろ頃合いだ。
俺は城壁から飛び降りて、戦のど真ん中に立つと、敵の兵隊たちをどんどん撃退していく。これでも俺はチートなのだ。モンスターでもない人間の兵隊などは雑魚キャラでしかない。手に持ったマーシャル・ソードを振り回し、敵を殺さないように倒していった。
「俺Tueeeeeeeeeee!!!!」
いつか言ってみたかったんだ、これ!
たくさんの人が読んでくれていて、とても嬉しいです!!