第三百二十章・イーゼルの誤算。
今日は祝日なので、昼まで寝てました。更新が遅れてすみません。
第三百二十章・イーゼルの誤算。
レストラン『社畜の安らぎ』。そこはすごく上品な感じのレストランだった。
イーゼルが一人でレストランに入った。俺たちは外で待っている。
「お嬢さん、ここは会員制ですよ?」
イーゼルの前にウエイターが来て、言った。
「あの、ここにアンジェリカ・プラット州知事さんが来られるはずなんですが‥‥‥」
応対に困るイーゼル。
「ああ、それでしたら席をリザーブしてあります」
「リザーブ?」
「アンジェリカ・プラット州知事とのディスカッションのための席ですよね?確かお名前は、イーゼル様?」
「はい。イーゼルです。あの、ディスカッションって‥‥‥」
「ではこちらへどうぞ。アンジェリカ・プラット州知事は正午に来られる予定ですので、それまでおくつろぎください。席へ案内します」
イーゼルはテーブルへと、案内される。
しかし、正装して来ればよかったと思うほどに、豪華なレストランだった。
席に座ったイーゼルは、目の前に置かれているメニュー表を見てみた。
「子牛のミルクソテー?」
食べたことない料理が並んでいた。
そっと、メニューを閉じるイーゼル。
緊張でいっぱいのようだった。州知事との話し合いなど、こんな大役を務めることになるとは思ってなかっただろう。
正午になると、ア・レーアの軍服姿のアンジェリカ・プラット州知事がやって来た。
あれが州知事か。ボブカットのヘアスタイルは、イーゼルに似ていた。
剣を携えている。見たこともない剣だ。
当然というか、アビゲイルの姿もあった。
イーゼル、頑張れよ!
レストランのテーブル席に来た、アンジェリカ・プラット州知事とアビゲイル・ツナースナが、イーゼルの向かいに座った。
「初めまして、わたしはアンジェリカ・プラットと言います」
アンジェリカはイーゼルに対して、丁寧な挨拶をした。
「あ、どうも。わたしはイーゼル。魔女で、冒険者です」
「随分威勢のない代表ですね」
アンジェリカは真顔でそう言った。
「あ、本当は冒険者の代表は、リューイチという男性なのですが‥‥‥」
「リューイチという名は聞いている。確かヴァイオレット・コーニーを捕まえるのに貢献した冒険者ですよね?」
「はい、州知事」
イーゼルの緊張感が増して、ピリピリとなる。
「話し合いには不向きなようですね?」
「え、ええ。すいません‥‥‥」
「アビゲイル、お前はなぜ、この子を選んだのだ?」
アビゲイルはニコッと笑って言った。
「こいつが一番、性格が弱そうだったからなのだ」
「アホか!こんな場に相応しくない相手を選んでどうする!」
「す、すみませーん」
アビゲイルはごめんちゃいとでも言うように、頭を掻いた。
「なら、この子は連れて行きますか?」
「そうしよう」
アンジェリカは剣を出して、イーゼルの目の前に剣先を突き付けた。
「来てもらおう!」
「え?」
イーゼルは事態がどうなっているのか理解に時間がかかった。
アビゲイルが後ろに回り、イーゼルの鼻口にガーゼで何かの薬品をしみ込ませた匂いを嗅がせた。
イーゼルは意識を失う。
「連れてこい」
アンジェリカはアビゲイルに指示した。
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