第三百十九章・アビゲイル・ツナースナ
今日は何だかだるいですね。たまには休みます。
第三百十九章・アビゲイル・ツナースナ
俺たちは三日、この村で過ごし、ルルチェが起きられるようになったので、出発することにした。
しかし、どこからやって来たのか、役人を名乗る幼女が、俺たちの泊っていた宿に訪ねてきた。
「アビーは、アンジェリカ・プラット州知事の使い、アビゲイル・ツナースナである」
アビー?
「何だ、ロリっ子?」
「誰がロリっ子だ!アビーはれっきとしたア・レーアの使いである!」
「自分のこと、名前で言う奴はロリっ子なんだよ、俺のいた世界ではな」
アビゲイルは、地団駄を踏んだ。
「バカにしてるのか?呪うぞ!」
「分かったから。呪うとか言うな」
「ほう、呪いの恐ろしさを知ってる者か?」
「まぁな‥‥‥」
「アビーの呪いを受けてみるか?冒険者」
「やめてくれ」
「そうそう、使いで来たんだった。アビーは州知事の右腕なのだ」
「ほう」
俺はアビゲイルをまじまじと見た。
「確かにそういう雰囲気は出しているみたいだな。話を聞こう」
「なら、州知事からのお言葉を言うわ。『戦争は避けたい。政治に関しての詳細を話したいから、一度会ってくれないか』と」
「そっちから来る気かよ?」
「州知事はとても冷静で思慮深い人なのだ。会うのか、会わないのか?」
このロリっ子、言い方がキツイな。
「分かったよ。どこで会えばいいんだ?」
「席は設けてある。ア・レーアのレストラン『社畜の安らぎ』で、明後日の正午に待つとおっしゃているのだ」
レストランの名前がツッコみたいところだが、ここは言葉を飲んでおく。
「分かったよ」
「で、一人だけ来いと申しておる。そこの魔女!」
アビゲイルはイーゼルを指さした。
「お前が来るのだ!代表はこちらで決める」
おいおい、何でイーゼルなんだよ?
「お、俺が代表だ!」
俺は名乗り出た。
「ダメなのだ。こちらで選ぶのが条件なのだ。アビーがそれを決める権限を与えられているのだ」
こいつ、しゃらくせぇ!
「どうする、イーゼル?」
「は、はい。わたしが行きます」
「もし何かあったら‥‥‥」
「大丈夫です。任せてください!」
イーゼルは前に出た。
「決まりですね。では、アビーはこれで行くのだ」
アビゲイルは勝手に来て、勝手にいろいろ言って、勝手に帰っていった。
アンジェリカ・プラット州知事とは何を考えているのか?
俺たちは、そのあと村を出て、ア・レーアの土地へ入っていった。
いよいよアビゲイルの出番が来たなと思いました。