第三百十八章・コマドリの誕生日
最近かなりお疲れ気味です。少し静養せねばと思っています。
第三百十八章・コマドリの誕生日
翌日、リドアは俺たちから解毒治療代をもらうと、すぐに村を去った。
あの人は本当に謎だ。また、医者が必要な時にすぐ会えるだろう。そんな気がしてきた。
「さて、ルルチェはもう大丈夫か?」
コマドリが、「まだ寝てる」と、言った。
「少し寝かしておこう。イーゼル、ルルチェのそばにいてやってくれ」
「はい」
「俺とコマドリで、村を散策してこようと思う」
「ルルチェはあと三日くらいは安静にしておかなくちゃと、あの医師が言っていた」
コマドリが俺に言う。
「じゃあ、あと三日、この村にいることにしよう」
「ああ」
俺とコマドリは、村の中を歩いた。
「それにしても、この村は小さいな」
コマドリがポツリと口にする。
「ん。そうだな。村と言うより集落に近いな」
でも、平和そうだ。
「こういう村もあるのだな」
「そうだな」
「実はわたしは、今日が誕生日なのだ」
「ふ~ん」
え?
「誕生日だって?」
「そうだ。言い忘れていたが、今日で十八歳になる」
「何もお祝いしてないし、用意もしてないぞ?」
「そんな、気を遣わなくていい」
「ホントに誕生日なのか?」
「疑ってるのか?」
コマドリはステータスカードを出して、俺に見せる。
確かに年齢のところに十八歳と書かれている。
「今、言うか?」
「言うのを忘れてただけだ。別に祝わなくていいし」
「そうは言ってもな‥‥‥」
「冬生まれは誕生日を忘れるらしいし、忘れられるらしいよ」
「普通に言うなぁ‥‥‥」
「だから、そなたたちに祝ってもらおうとかは思ってないし」
「誕生日は大事だろ?」
「今は旅の方が大切だ」
「そうか」
「そう言ってるだろう?」
「なら、いいか」
「それでいい。わたしの忍者の山でも、誕生日なんて祝わなかったからな」
「寂しいな‥‥‥」
「そうは思わない。今はルルチェが安静にしてくれるのが、一番大事だしな」
そういや俺は、ルルチェの誕生日も自分の誕生日も知らない。
大体俺って誕生日、いつだ?
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