第三百十一章・アンジェリカ・プラット州知事とは?
これからまた、外へ出掛けます。では更新します。
第三百十一章・アンジェリカ・プラット州知事とは?
俺たちはダ・ガール城の会議室で、話をしていた。会議室なので会議だ。
「それで、女犯三羽烏のひとり、アンジェリカ・プラットってのはどういう女なんだ?」
「一応はクレメント州の州知事よ」
「で、どうして悪い奴なんだよ?」
俺はルルチェに訊いた。
「そうね、ベアトリアースが揃えた書類によると、アンジェリカ・プラットは、州知事になった暁に、ア・レーアとクラ・ナーアを併合しようとしているらしいの」
「併合か‥‥‥」
俺は日本と朝鮮半島の併合問題を思い出していた。ああいう国際問題になりそうなことは、当然御免だ。
「それで、何で併合しようとしてるんだ?」
「富国強兵ってやつよ」
「富国強兵?」
また厄介そうな言葉が出てきたぞ。いつの時代だよ?
「国を併合して、強い国を作るというわけか」
「そうみたい」
「アンジェリカ・プラットはクラ・ナーアの貧しい土地で生まれ育ったから、貧富の差を知っている。それと、魔王がいなくなったせいで、戦いを学ぶ者たちが弱体化しているのを危惧してるらしいわ」
「ほう。なるほどな」
「強固な国づくりのために、国と国を併合させるのが、アンジェリカ・プラットの唱える正義なのよ」
「正義と来たか!」
「そう。正義!この思想は厄介だわ」
「百人いれば百通りの正義が存在するんだろうな、まったく‥‥‥」
「でも、わたしたちだって、正義だと思って行動してるでしょ?」
「それはそうだが‥‥‥」
「クラ・ナーアで育った人が、隣国のア・レーアの州知事になるってのは生半可な努力でなった地位ではないわ」
「ふ~ん。どうやってそいつは州知事にまでのし上がったのやら」
「アンジェリカはア・レーアでもクラ・ナーアのどちらにも影響力のある人物よ。政治家としての資質も当然あるわ」
「まぁ、そいつを失脚させればいいんだろ?」
「それはそうだけど、簡単にはいかないわよ」
「まぁ、言ってみただけだ。それで、会いに行くのか?」
「ええ。そうしたいわ」
「なら、目的は揃ってるな。アンジェリカ・プラットとの話し合いだ」
「そうね。戦いで解決できることじゃないかも‥‥‥」
「いや、いざって時には戦うだろ?今までも会談だけで解決したことほとんどないだろ?」
「まぁ、その必要があるのならね」
「こんなの、冒険者には荷が重いな」
「それでもわたしたちは行かなくてはならない」
「お前はダ・ガールの姫だからな」
「そう。それに賢者だし」
「覚悟は決まったな?」
「ええ」
「なら、俺も行くよ。お前に続いてやる!」
「ありがと」
俺はコマドリとイーゼルを見た。
うなずく二人。
政治に関しては、ルルチェが本命だから、任せよう。
俺たちはさっそくア・レーア王朝へと向かう準備をした。
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