第三百六章・ヴァーラントよ、再び?〈後編〉
今日は病院に行ってきました。
第三百六章・ヴァーラントよ、再び?〈後編〉
俺たちの前にドラゴンのヴァーラントがいる。
「お前たち、我を下僕にしたという噂が広まってて、我の元にまで耳に入ったのだが、一体どういうことなのだ?」
俺は背中に隠れるルルチェを強引に前に出して、しどろもどろに事情を話した。
「ほう、つまり我を操った女性が賛美されるのを、我が手伝ったということで良いのか?」
ルルチェは恐怖混じりにうなずいた。
「リューイチ、わたしチビりそうなんだけど‥‥‥」
「耐えろ!ここは説得しかない!」
俺は情けないが、ルルチェの背中を押すだけで精いっぱいだった。
「フン、なら良い!人のうわさも何日で終わるか分からぬが、我はそんなに尻の穴の小さい者ではない。それくらいなら大目に見よう」
えっ、いいの?
俺たちは急に体の力が抜けた。
「それにお前たち、以前我の元に来た時よりも立派になっておるな?見れば分かる。我を倒すことは出来ぬでも、それなりに精進したのだな。それは感心する」
何だか褒められてるぞ?
いいのか、それで?
「我はまた、眠りにつく。子竜たちの面倒は見なくてはならないから、定期的には起きるが、それでも、もうあと50年は眠る。また会おう、冒険者たちよ!」
そう言うと、ヴァーラントは大きな翼を広げて飛び上がり、空の向こうへと去っていった。
「行ってしまったな」
俺は安堵する。
他の皆も、緊張が解けたようだ。
「まさか、あのヴァーラントが出てくるとはな」
コマドリが腰を抜かしたように、膝をついた。
「殺されるかと思いました」
イーゼルも杖につかまって、倒れそうになるのを堪えていた。
「分かってもらえて良かったよ。話の分かるドラゴンで良かった‥‥‥」
フーッと息を吐く俺。
「ヴァーラントは悪いドラゴンではないわ」
ルルチェが言う。
今さらかよ。てか、その悪いドラゴンじゃない奴を、最初に討伐に行ったのは誰だ?
俺はツッコみたかったが、その辺は言わないでおこうと思った。
昼からまた仕事です。