第二百九十六章・エールドの谷へ落下したぞ?
今日は朝からキツくて、ついさっきまで寝てました。安静が大事だそうです。
第二百九十六章・エールドの谷へ落下したぞ?
北へ向かう俺たち。雪原は続く。
「寒いな、さすがに」
コマドリが言い出した。
遅い!今頃かよ?
俺はもう、凍えそうだ。
暑いのも嫌だが、寒いのはもっと嫌なのだ。
結局、どっちも嫌ということなのだが。
「お前らも、寒くないのか?コマドリ以外」
「わたしは山で鍛えていたからな」
と、コマドリ。
お前には訊いちゃいねーよ!
「わたしとイーゼルは、体の中のマナを摩擦させて、熱を産み出してるから、温かいの」
と、ルルチェ。
「魔力を使ってるんですが、微弱なものですから」
そういうこと出来るんか!
「じゃあ、寒いのは俺だけ?」
「ヘタレだな、リューイチ」
コマドリが俺に向かって言う。
うるせー!!
「メデゥーサの城まで、あとどのくらいだ?」
「もうすぐ谷に着くわ。エールドの谷よ」
「もうすぐかよ?」
「ええ。近くまで来てるわ」
「ならいいが、敵の本拠地だ。戦闘になったらルルチェは不利だな」
「え、今さら?」
「攻撃魔法で倒せるのは雑魚モンスターだけだろ?」
「せめて、戦いじゃなく、話し合いで解決しない?」
「相手がモンスターでもか?」
「そ、それは‥‥‥」
コマドリが口を挟む。
「ルルチェには援護に回ってもらうので十分じゃないのか?わたしたちのパーティーは、リューイチとわたしで剣による攻撃、イーゼルの攻撃魔法、あとは手傷を負った者に回復魔法ということで、バランスが取れているはずだ」
う、うーむ。
「なら、今までのように戦えばいいか」
「うむ。わたしもそう思う」
「わたしも異議なしです」
それでまとめるか。
「分かった。じゃあ、ルルチェはメデゥーサと話し合いでクレアスフィアをもらってくれ」
「交渉ってこと?」
「ああ。メデゥーサっていや、その目を見ると、石に変えられる能力を持っているんだろ?」
「そう聞いてるわ」
「なら、かなりの上級モンスターか魔族の類ってことだ。できれば戦闘は避けたい」
「それで、交渉でクレアスフィアを譲ってもらうって腹なのね?」
「そう。それでいいはずだ」
「分かったわよ。でも、危なくなったら助けてよね?」
「ああ、いいとも!」
話しながら歩いている時、突然足元がズボッと崩れ、俺たちは落っこちた。
クレバスでもあったか?
いや、落ちたところが、ちょうどエールドの谷だったのだ。
下も雪だったので、俺たちは助かったが、ここにメデゥーサがいるヴァンガス城があるのだ。
俺たちは、秘密結社『ゴーゴン』の拠点であり、メデゥーサがいる城の前にまで、来てしまっていた。
読者の皆様も風邪など引かないよう気をつけてくださいね。