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第二百九十章・風邪っぴきの俺〈後編〉

昨日は雪に地震に、いろいろ大変でした。読者様の方もケガのないように祈っております。

第二百九十章・風邪っぴきの俺〈後編〉



 ノックの音が聞こえたので、俺は目を覚ました。

「はい?」

 俺はドアに向かって返事をする。

 入って来たのはルルチェだった。

「おう!」

「大丈夫?イーゼルが作ってくれたスープ粥、食べられそう?」

「もうけっこう大丈夫だ。イーゼルに礼を言っておいてくれ」

 俺はスープ粥を受け取ると、スプーンで食べ始めた。


「悪いな、このチートスキルの俺が、こんな‥‥‥」

「別に変なことはないわ。空が青く、雲が白いのと同じく、チートのリューイチも風邪を引く。それだけよ」


 まぁ、そうなんだけどな。


「リドアさんは?」

「もう帰ったわよ。次の旅に出たわ。診療と注射の代金は払っておいたから、安心して」

「そうか。ありがとな」

「いいえ、いいのよ」

 そう言うと、ルルチェは椅子に座って、何かを本に書き入れ始める。


「何を書いてるんだ?」

 俺はスープ粥を食べながら、訊いた。

「これ?フランジータ寺院でもらったバイブルよ。白紙に記していくのがわたしの仕事だから」

「ああ、そういえばそんなことあったな」

「そう、わたしだけの、皆を救うための言葉を考えながら、書きこんでいるのよ」

「俺の日記にはダメ出ししてたくせに」

「これはバイブルだから」

「へー。何て書いたんだ?」

「そうね、ユニオン教の一つとして、『神を信じるということではなく、神を信じようとする自分を信じよ』とか」

「なるほどね」

「わたしは誰しもが生まれてきて良かったと思えるような世の中を作っていきたいだけだから。それが賢者としての仕事」

「理想が高いな」

「理想無くして物事の実現はあり得ないからね」

「それはそうだな。そうやって人間は空や宇宙を飛ぶことが出来たんだし」

「宇宙?何それ?」

「いや、何でも‥‥‥」

 俺はスープ粥を食べ終えた。


「さて、明日には出発するか」

「そうね」

 ルルチェはバイブルを閉じると、俺の方に体を向けた。

「リューイチ、あなたがわたしたちを必要としている時には、甘えてもいいのよ」

 真顔で言うルルチェ。

「あ、ああ」

「わたしから言えるのは、それだけ。いい?」

「分かったよ。これからもよろしくな!」

「今さらね、ホントバカ!」

 ルルチェはそう言うと、部屋を出ていった。


 マジにサンキュな、ルルチェ。それにみんな。


 俺は心の中で、礼を言った。



読んでくれる皆様には感謝しかありません!!

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