第二百八十一章・ここがアトランティス王国?
書き溜めている章では、ついに最大の敵が出てきました。この小説も紆余曲折しています。
第二百八十一章・ここがアトランティス王国?
俺たちは翌日になると、船の甲板に出た。水平線の先に見えるのが、例のアトランティスだった。
なるほど、大陸というだけあって、島とは思えないほどの大きさだ。
巨大な建造物の水門があり、そこから中へと、船は進む。湖のような内陸は、あちこちに港と呼べそうな波止場があった。
その一つに停泊するアトランティック号。
俺たちは他の乗客とともに、下船した。揺れのない港。ここがアトランティスか。
同船していたアトールに連れられて、俺たちは王国内へと入っていく。
「なあ、本当に沈んでいるのか?」
俺はアトールに訊いた。
「見た目はそうは見えないと思いますが、これでもかなり沈んでいるんです」
「そうか」
遠くには山が見える。火山のようだ。たぶん、休火山なのだろう。
正面には大きな城のようなものがある。
「あれが、アトランティスの城か?」
俺は指さした。
「はい。リア女王が統治しています」
「リア王女?」
「アトランティス人は皆、半魚人です。城の一番上にある神の玉座に、ポセイドン様がいらっしゃるのです」
例の海の神という国神か。
「建築物にはいろいろ彫刻が施されているな」
「アトランティスの歴史が刻まれているんです」
「オブジェなんかもあるな。あの彫像はタツノオトシゴか?」
「タツノオトシゴという言い方は初めて聞きましたが、竜魚の彫像です」
竜魚って言うのかよ‥‥‥。
案内されたのは、王国の城の中だった。いいのかと思ったが、けっこう観光客を招いているようだった。
アメリカでも、ホワイトハウスの中を見学できるツアーがあるらしいと聞いたことがあるが、それと同じようなものか。
しかし、俺たちは見学施設以上の上の階にまで、案内された。
「どこまで行くんだ?」
俺はアトールに訊いた。
「この上にいらっしゃるのが、女王の間です」
まさか、リア王女とやらに謁見させる気か?
そのまさかだった。大きな扉を開けた先には、半魚人のリア王女が玉座に座っていた。
「戻りました」
アトールが、義援金を衛兵に渡して、リア王女に頭を下げる。
「ご苦労でした、アトール。で、その方らは?」
「旅の帰りに出会いました、冒険者の方たちです。義援金をたくさんくれました」
「ほう。これはこれは、どうぞよろしく」
いきなりトップと会わせるとか、冗談だろ?
俺は失礼のないように、慌ててお辞儀をする。
「どうも、俺はリューイチ。ダ・ガール直属の冒険者です」
「まぁ、ダ・ガールの?」
「他は仲間です。魔女のイーゼルと忍者のコマドリ、そしてダ・ガールの姫の‥‥‥」
ルルチェはズイッと前に出る。
「ダ・ガール・フォー・ルルチェです」
「姫?ダ・ガールのお姫様がここに?」
「はい。今はわたしは賢者で、冒険者ですが‥‥‥」
ルルチェの挨拶には気品がある。ま、王族の雰囲気があるからな。てか、王族だし。
「この国の憂いを、お察しします。リア王女」
ルルチェはダ・ガールの姫として、礼を尽くした。
厳格な場所で育ったであろう礼儀作法で、ルルチェは頭を下げる。
読んで頂いてる皆様に感謝です!!