第二百七十二章・援軍の到着!!
久々に登場するドラゴンの存在は貴重です。
第二百七十二章・援軍の到着!!
背中にセーラを乗せたドラゴンのヴァーラントは、夕暮れが終わる頃に出現した。
「ここが竜を苦しめているという、コローランの敵のアジトか?」
セーラが、郵便配達で使っている地図を片手に確認して、「はい!」と、叫んだ。
「宮殿の屋上に、たくさんの子竜がいます!」
「なるほど!あそこで間違い無さそうだな」
宮殿の周りには、大勢の傭兵軍団が囲んでいた。
「では、いきなりたたき起こされた礼を、一気に火だるまにして、晴らすか」
ヴァーラントは、空から火を噴いて、傭兵軍団を蹴散らす。空からの攻撃が、こんなに脅威なのは誰でも分かるはず。ヴァーラントは飛び回りながら、火炎放射を浴びせてきた。
成すすべもなく、傭兵たちは逃げていく。
これがドラゴンの強さだ。ドーンパレスは、周りが炎に囲まれる。
もう、火力が違った。
人間風情にこの差は埋められないだろう。
「よし、屋上に下りよう。子竜たちを我が救おうではないか」
ヴァーラントは、ドーンパレスの屋上に下りる。
ズシンという音がして、建物全体が揺れる。
* * *
少年兵たちは武器を落として揺れに耐えきれずに倒れた。
「一体これは、何なんだ?」
ヴァイオレット・コーニーが、建物の揺れに耐えながら言う。
「わたしたちの援軍よ!やっと到着したわね。ホントにこんなにご都合主義的な展開になって、心苦しいわ。でもあなたには残念ね!」
ルルチェが声を大きくして言った。
「さっきお前が言った、ド、ドラゴン?まさか‥‥‥」
「その、まさかよ!」
ルルチェがセーラに出した手紙は、ヴァーラント宛てだったのか。
確かに、竜がらみのことなら、嫌でも起きてやって来るだろうと、ルルチェは考えたワケか。
さすがの賢者だな。
それにしても、間に合って良かったよ。ドラゴンなら手紙を読んだら、すぐに飛んで来れるだろうから、到着がこんなにも早かったんだ。
結果オーライって奴かな。
しかしドラゴンか‥‥‥。
大した援軍だ。
こんな宮殿、あとで燃やし尽くしてもらおう。
だが、先にヴァイオレット・コーニーを確保してからだな。
「降伏しろ!子竜は手放して、子供たちを解放して、あとは身柄をシア・ラースに引き渡す。もう終わりだ!」
俺はいいところを全部持っていかれないように、ここぞとばかりにズイッと前に出て言った。
ヴァイオレット・コーニーは、舌打ちする。チートの俺と一戦交えて敵うはずがない。
「お、お前ら、これで済むと思うなよ?」
典型的な捨てゼリフをありがとう。だが、ここでお縄にするぜ!
俺たちは少年兵たちから、武装を捨てさせて、ヴァイオレット・コーニーとともにドーンパレスの外へ出した。
ヴァーラントも、背中に子竜たちを乗せると、空に飛びあがってドーンパレスに炎を吹きかけて、火の海にした。
こんな勝ち方も、たまにはいいだろう。
燃え盛るドーンパレス。夜の景色に明るく炎が光っていた。
読んでくれる皆様には感謝しかないです!!