第二百六十六章・トンネルは魔窟?
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第二百六十六章・トンネルは魔窟?
旅の途中で、山に差し掛かった。けっこう大きい山だ。
「ルルチェ、ここに山なんかあったか?」
俺は訊いた。
「地図には載ってなかったわね。ただ、トンネルがあるはずよ。道一本で反対側に繋がっているやつ。そこを通れば出口は山の向こうみたい」
「え、トンネル?ダンジョンじゃないのか?」
「いいえ、ただのトンネルよ。一本道しか無いみたいよ」
「そうなのか」
「トンネルを通れば一日時間が稼げる。どうする?」
俺は少し考えた。
「早く着くなら、トンネルを選ぼう。それでいいか?」
俺はイーゼルやコマドリにも訊いた。
案の定、イーゼルは反対する。
やっぱりな。暗いところは苦手だったしな。
「リューイチ、わたしから離れないでくださいね」
「はいはい。分かったよ」
イーゼルが俺にくっついて、トンネルの方へ向かった。
すぐそこにトンネルはあった。
「ここでいいのか?」
「そうよ」
ルルチェが中に入る。それに続く俺たち。
トンネルの中は、悪臭に満ちていた。
イーゼルの火の魔法で、その辺にあった棒きれの先に火を付けて、たいまつにする。
洞窟みたいだ‥‥‥。
先に進むと、けっこう距離があることに気づく。
「長いな」
コマドリが言った。
どんどん進むと、トンネル内の光はたいまつ以外、無くなった。
本当はダンジョンなんじゃないか?
確かに道はこの一本しかないみたいだが‥‥‥。
「モンスターの巣窟のようだな」
俺はまた、フラグを立ててしまったようだ。
俺はアホか。
「絶対にこの先に何かいる」
俺の言葉に皆、ギョッとした。
「リューイチ、あなたって人は‥‥‥」
「スマン、ルルチェ」
俺は謝る。
どうせ遭遇するなら、先に行っておいた方が、緊張が保たれて良いだろう。
しかし、何が来る?
こんなへんぴなトンネルに。
ブーンという音が聞こえた。
ただの羽虫かな?そう思ったのが運の尽きだ。これはモンスターだ。
「気をつけろ。いるぞ!」
「え?」
ルルチェが進む足を止めた。
「いるって、何が?」
「この音‥‥‥」
俺は目の前で飛ぶ、大きなハエのような奴に目を凝らす。
「やっぱりコイツか」
「何?」
「やっぱりここは魔窟になっているようだな」
ルルチェは前を見る。
「あの大きな羽虫は、ベルゼブブ!」
ルルチェはそのモンスターの姿に反応して、足を下げた。
読者の皆様に幸あれ!!