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第二百六十一章・奴隷は子供?

今日は天気が悪いですね。風邪にはくれぐれも気をつけてください。

第二百六十一章・奴隷は子供?



 イーゼルの爆破魔法を連発してもらい、たくさんの竜牙が入っている大きな倉庫をコナゴナに吹き飛ばしてやった。これで竜牙はもう、連中の好きには出来なくなった。

これはこれでいい。売る物が無ければ、奴らは大損だろう。俺たちはこれで、ひとつ仕事を終えた。


*        *        *


 竜牙の密猟は、大人の仕事で、それを運ぶのは奴隷にされた子供たちだと、港で聞いた。

少年兵もいるらしく、彼らに竜牙を運ばせているというのだ。


 子供は脅されていて、自分たちが逃げ出したら、お父さんお母さんを殺すと言われて、働かせているらしい。

さらに、賃金の代わりにポンカなどもやらせているらしい。

ヤク漬けかよ?


ますます持って、嫌な話だ。

これも港で倒した連中からの情報だった。


こいつらも悪事に加担しているのだ。この場でぶっ殺してやりたくなったよ。


 ヴァイオレット・コーニーのアジトは、コローランというところにあるらしい。

俺たちは、その地図には載っていない場所に行くために、一度シア・ラース王都へ戻ることにした。


 港は壊滅させたので、竜牙の流通経路は断ったのだ。これはこれで成果だろう。


 でも、こいうのは俺のいた世界でも、どこかの国では起きていることなのだ。何とかしてやりたい気持ちはあったが、それでも傍観するしかなかったものだ。

でも今は、俺は助ける力を持っている。それを使わないでどうする?

俺の腹は決まっていた。


 ヴァイオレット・コーニーを潰す!


 ちゃんと奴隷も助け出すから、待ってろよ。


 俺たちは引き返していった。


*        *        *


 王都では、あまり竜牙の話題は無いようだった。中には逃げてきた子供を保護した団

体もいるらしいが、竜牙の話になると、だんまりを決め込む子供たちばかりだったという。


 そんな状態が十数年くらい続いているらしい。


 これは大人がどうにかするべきことだろう?それなのに‥‥‥。


「俺たちに丸投げ状態だな」

 俺は宿に集まった仲間と話しながら、言った。

「助けたい。子供たちを!」

「リューイチ、わたしたちの依頼は、ヴァイオレット・コーニーの組織の壊滅、それだけよ?」

 ルルチェが俺に言ってきた。

「そうだ。それは分かる。でも‥‥‥」

「助けるべき子供が少年兵で、わたしたちにナイフを突きつけてきたら?」

「そんなのは考えるべきことじゃないだろ?」

「でも、現実はそうかもしれないのよ?」

「その理屈も分かる。だけどな‥‥‥」

「あなたも迷ってるんでしょ?」

 ルルチェに俺の心が読めるのか?

「壊滅させるには、犠牲もやむを得ないってことか?」

「そういうんじゃない。でも、子供たちも敵とみなさなければならない時もあるのよ」

「その理屈は好きではない」

「そういう問題じゃないでしょ?」

 俺は黙った。


 この世に正義は無いのか?


「リューイチ、わたしはリューイチの意見に同意しますよ」

 と、言ってきたのはイーゼルだった。

「わたしはリューイチの優しさに賛成したいです」

「イーゼル‥‥‥」

「わたしは何があっても、リューイチの味方でいたいです」

「そうか」

 コマドリも、ため息をつくと、俺に同意してきた。

「リューイチの気持ちに一票入れてやろう」

「コマドリ‥‥‥」


 ルルチェは黙って、椅子にもたれかかった。


「人が良いのね、まったく」

 そう言うと、ルルチェは少し笑って、頭を縦に振った。


「分かったわよ。リューイチを信じてあげる」


 ルルチェは俺の目を見て、深い瞳の中を覗き込んできた。

 今度、行くのは敵のアジトだ。

 気合いを入れて、臨まなければな!



読者の皆様に幸あれ!!

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