第二百五十四章・マヤとアイラ
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第二百五十四章・マヤとアイラ
朝になって、宿を出ると、偶然アイラとマヤに出くわした。
リストレア姫の従者だ。彼女が戻ってきたということか。
「よう、久しぶり!」
俺は声をかける。
「誰?」
マヤは俺を見て言った。
「あんた、ダ・ガールで会っただろ。俺は冒険者のリューイチだ」
「ダ・ガールの者か。それなら会ったかもな」
「いや、会ってるって」
俺はイーゼルたちを、改めて紹介した。
「会ったような覚えはあるが、あなたたちは、こんなヘタレ顔の男性に従って、旅をしているのか?」
相変わらずの毒舌だな。その一言で死体が転がるよ‥‥‥。
「お前はリストレア姫の付き人だろ?」
「そうだ。妹もな」
そう言って、アイラを前に出すマヤ。
「こ、こんにちは」
アイラはきちんと挨拶してくる。
「よう、お前も久しぶりだな」
「わたしは覚えてますよ。ジェイドおばさんのところで会いましたよね」
「ほう、その通りだよ。うん、妹はよく出来てるな!」
俺はアイラの頭を撫でた。
うふふふと、笑顔を見せるアイラ。
「俺たちはこのシア・ラースからの依頼で、ここに来ているんだ」
「どんな用だ?」
「それは秘密な」
「なぜ?」
「この国の国家機密と言えるからさ」
マヤは少し考えてから言う。
「ラック・ザ・カッターの逮捕とかか?」
「それはもう済んだ」
俺はドヤ顔になる。
「そうか。ラック・ザ・カッターは捕まったか」
「その通りだ」
「女ばかりを狙う殺人鬼をどうやって男が捕まえることが出来る?」
「まぁ、この魔女のイーゼルが倒したんだけどな」
俺はイーゼルを指さした。
呆れるマヤ。
「女に殺人鬼は捕まえられないだろ?」
「いや、俺たちは冒険者だから‥‥‥」
「だから何だ?」
「皆、強いってことだよ。俺の仲間の三人の女がね」
「女が強いなんて、そんなのは男性を立てることが出来ない女だ!」
なんか、変なこと言い出したぞ?
「いや、冒険者だからさ。女でも強いんだよ」
「信じられないわ。男性を差し置いて、あのラック・ザ・カッターを倒すなんて‥‥‥」
「いや、ホントのことだから」
「くだらん!女性が出しゃばっちゃダメだろ?」
「この国ではそうらしいな」
「どの国でもそうすべきだ!」
マヤは強く言う。
「そんなのは、シア・ラースの中だけでやれよ」
おっと、何だか俺は、ケンカ腰になっちまっているようだ。
「いや、忘れてくれ」
俺は息を吸うと、大きくため息をついた。
「リストレア姫によろしくな!」
俺は手で、去り際の挨拶をした。
「みんな、行こう!」
俺は皆を連れて、その場を離れた。アイラが俺たちに手を振ってくる。あの子はいい子だ!
「リューイチは女がしゃしゃり出ることを何とも思わないのですね?」
と、イーゼルが言ってきた。
「まぁな」
時代遅れは俺たち冒険者だけではない。この国も相当時代遅れだぞ!
まぁ、放っておけば良いのだが、何だかここは、俺には息苦しかった。
読者の皆様に幸あれ!!