第二百五十三章・俺の手柄?違うだろ!
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第二百五十三章・俺の手柄?違うだろ!
カッターでイーゼルを襲った男は、その日のうちに警察に引き渡された。
代わりにコマドリが釈放される。
「この男を倒したのは君かね?」
俺に言ってくる警察官。
「いや、こっちの魔女だ」
そう言って、イーゼルの肩を叩いて、前に出させる。
「女?女が倒しただと?」
「そうだけど?」
「さっき補導した女もそうだが、女が出しゃばって、犯人を倒したりすんじゃない!」
おい、それは言い過ぎじゃないのか?
「女が出しゃばっちゃ悪いとでも言うのか?」
俺は警察官に詰め寄った。
「君も男だろ?女に手柄を取られるとは、自分が情けないとは思わんのか?」
「別に?だって俺たちは冒険者だしな。そんじゃそこらの連中を相手に負けるパーティーでは無いんだ」
俺は自信満々に言った。それがこのパーティーの実力だ。
「馬鹿馬鹿しい!これは君の手柄としておく。女には出しゃばるなと言っておけ!」
「そんなのってアリなのかよ?」
「ここでは女は黙って男に従っていればいいんだ」
「そういう国だったな、ここは」
ルルチェが間に入って来た。
「もうやめましょ。リューイチ、あなたの手柄でいいから、もう行きましょう」
「え、でも‥‥‥」
「リューイチ、ここではあなたのような男性が主で、女が従なの。だから、これ以上は揉めないで!」
ルルチェも俺を諭してくる。
「ルルチェ‥‥‥」
イーゼルも俺の前に来た。
「わたしも大丈夫ですよ。手柄はリューイチのものです」
「イーゼルまで‥‥‥」
俺たちは、ラック・ザ・カッターの身柄を警察に任せると、宿へ戻った。
「まったく、この国は‥‥‥」
俺は三人の仲間の部屋に来ていた。
コマドリは、あの恥ずかしい格好を着替えて、元の着物に戻っていた。
「言っても始まらないさ。イーゼルがやっつけたのだから、もう安心だろう。それが本当の解決だ。誰が手柄を立てたかなんて、どうでもよいだろう?」
コマドリの意見ももっともだが‥‥‥。
「それでも、俺の手柄にされるのは心外だよ。実際、俺は何もしてないっていうのに」
「もらっておきなよ、そんな手柄なら」
コマドリはサバサバしているなぁ。
「この国の女性は息苦しいだろうな」
俺の言葉に、ルルチェが反応する。
「こういう価値観っていうのは、そこまで間違いってわけではないと思うわよ」
「そうか?」
「それで成り立っている社会だから」
「三人とも、ホント理解があるなぁ」
俺は三人を見て言った。
「女は結婚して子供を産んで、それを育てるのが仕事ってワケか」
まぁ、俺のいた世界でも、女性の本当の意味での自立っていうのは、まだまだ遠いのかもしれない。男女平等社会を築くのは、実際それだけ難しいのだろう。
俺もこれ以上、この話をするのはやめた。
読者の皆様に幸あれ!!