第二百五十二章・ラック・ザ・カッター
映画「メグ・ザ・モンスター」のブルーレイがAmazonから届きました。楽しみです。時間作って観よう。
第二百五十二章・ラック・ザ・カッター
中世風の建物がたくさんある中、夜の街は静まり返っていた。人通りもほとんど無い。
こんな夜更けに、任務とは違うおせっかいで、俺たちは、ラック・ザ・カッター、通称切り裂きラックが現れるのを待っている。
囮は最強の忍者、コマドリだ。
こんな夜中に露出の多いセクシーな格好で、独り、街の裏道をウロウロしてもらってる。
それを遠くから監視する俺とルルチェとイーゼル。
「なぁ、待っていても、今日現れるとは限らないんじゃないか?」
俺は背中に乗っかるように顔を突き出しているルルチェに言った。
「バカね。絶対襲って来るに決まってるじゃない。あんな格好をコマドリがしているのよ?」
「そんなモンか?」
俺には素朴な女の子が、怪しい服着て、挙動不審に歩いているようにしか見えない。
ラック・ザ・カッターは本当に現れるのか?
そうこうしているうちに、誰か男がやって来て、コマドリに近づく。
「おい!お前」
「来たか?」
コマドリは振り向いた。
「女か。こんなところで何をしている?」
「あんた誰だ?」
「警察だ」
「え?」
コマドリは固まる。
「いや、この辺に通り魔が出ると聞いてな。わたしが捕まえてやろうと‥‥‥」
「そんなのは警察の仕事だ。ちょっと来てもらおうか?」
「あ、あれ?ちょっと‥‥‥」
戸惑うコマドリは、そのまま連行されてしまう。
おいおい、何か話が違うぞ?
コマドリの奴、連れて行かれたし!
「これは作戦失敗ね」
ため息をつくルルチェ。
「それよりどうするんだよ?」
「また明日ね。さっさとコマドリを引き取りに行くわよ」
「アホな作戦をありがとうだよ。これで一日損したな」
「もっと前向きに考えてよ。今日見張っていたおかげで、ラック・ザ・カッターは凶行を行えなかったのよ」
「ここだけがターゲット地点じゃないだろ」
まったく‥‥‥。
だいたい、俺のいた世界の、ジャック・ザ・リッパーだって、未解決事件で終わっているのだ。それになぞらえてみれば、敵は神出鬼没な奴で、捕まることのない殺人鬼であることは間違いない。
その時、イーゼルが振り向くと、シルクハットに背広の大男が、手に工具用のカッターを持っていた。
「ラック・ザ・カッター!」
イーゼルは叫んだ。
相手はカッターを手慣れた感じでイーゼルに向けてくる。だが、イーゼルの杖での攻撃の方がリーチが長かった。
ボスッという音がして、相手の大男は倒れる。石畳の地面に頭を打ち付けた大男は、そのまま気絶した。
「イーゼル!」
「大丈夫です。カッターを持っていた男をやっつけました」
俺たちでそいつを縛り上げた。
これでカタが付いたようだ。
てか、こいつ弱っ!!
雑魚キャラが名を売ってんじゃないよ。
スライムが強く見えるよコンチクショウ!!
スライムに謝れ、ゴミ野郎!
今月と来月は静かに過ごしたいと思います。読者の皆様に感謝です。