第二百五十一章・シア・ラース王都の連続殺人鬼!
更新が遅れてすみません。ではどうぞ!
第二百五十一章・シア・ラース王都の連続殺人鬼!
翌日、俺たちはエルザのところを訪れた。まだ宿の部屋にいたのだ。
「主人が申し訳ない態度を取ってしまって、本当にごめんなさいね」
エルザは赤ちゃんを抱いたまま、ベッドの上にいて、俺たちを迎え入れてくれた。
「見るところによりますと、あなた方はこの国の人ではないようですね?」
ほう。見る人が見れば、分かるらしい。
「わたしたちは冒険者です。ダ・ガールから来ました」
ルルチェが率先して言う。
「まぁ、ダ・ガールから?それはそれは!でも、冒険者?今どきかしら?」
「ええ。今どき時代遅れの冒険者です」
「珍しいですね。どうしてこの国に?」
「この国からの依頼があって来たんですよ」
「まぁまぁ、それじゃ本当に申し訳ないですね。わたしが急に産気づいたのに助けてもらって‥‥‥」
「全然気にしなくていいんですよ。当然のことをしたまでのことですから」
「本当にありがとう!」
「そんな‥‥‥」
ルルチェは遠慮がちに言った。
大した事したと思うけどな、俺の意見的には。
「このシア・ラースの王族の方から依頼が来たんですか?」
エルザはルルチェに訊いた。
「はい。この国で、ある問題を解決して欲しいという依頼です」
「なら、最近この街で、よく夜に出没するという、ラック・ザ・カッターのことかしら?」
「ラック・ザ・カッター?」
ルルチェは首をひねった。
「あら、違ったかしら?この王都で、若い女性ばかりを狙った連続殺人鬼のことですよ。娼婦などが一般に狙われているらしいです」
なんか、昔ロンドンに現れた、殺人鬼ジャック・ザ・リッパー、つまり切り裂きジャックのようなものか?と、俺は思った。
「そんなのがいるんですか?治安が悪いですね」
ルルチェも表情を変える。ゾッとしたようだった。
「ええ。でも、若い女性がちょっとセクシャルに着飾ったり、夜一人で出歩くのが悪いんでしょうけどね」
襲われる女の方が悪いって発想か‥‥‥。
つまり自己責任論かよ。
やっぱ、この国の発想は、どこかズレてるな。
「そういうのがいるのなら、わたしたちでやっつけますよ!」
と、ルルチェは自信ありげに言った。
おい!まさか、そのラック・ザ・カッターとかいうのと戦う気かよ。
ま、それはそれでいいんだけど。俺には関係ないし。
しかし、いつでもどこでも、そういうのっているんだな。
この調子だと、俺も捕まえるのに協力しろとか言い出しそうだな。
「そろそろ行こうぜ」
俺はルルチェに言った。
俺たちは宿代を代わりに払ってやると、その足で宿を去った。
「さて、これからどうする?」
「当然、ラック・ザ・カッターを捕まえるのよ」
と、ルルチェが言う。
言い出しやがった!
「切り裂きラックを捕まえるってのか?」
「〝切り裂き″って何よ?だって、ほっとけないでしょ?」
「そいつは神出鬼没だろ?だから捕まえられないんだ。そうだろ?」
「でも、ほっといたらもっと若い女性が殺されるのよ?」
「それはそうだが‥‥‥」
「捕まえましょ!」
「でも、俺たちがゾロゾロと歩き回っても、相手は出てこないと思うぞ?」
「そうね。若い女性が一人で歩くのに遭遇すれば、出てくるのかもね」
「誰がそんな役やるってんだ?」
「わたしが‥‥‥」
やっぱ、そう言うのか。
「却下だ!王族の気品をプンプンさせているお前が狙われるわけがないだろ」
「えっ、じゃあ、どうするの?」
「イーゼルは幼過ぎるしな」
イーゼルが顔を赤くして、俺に詰め寄ってきた。
「幼過ぎるってどういう意味ですか?意味次第では、ルルチェに頼んでギロチン刑にしてもらいますよ」
「あ、いや、言葉のあやだよ。逆にお前だと、狙われないと思っただけだ」
「わたしも年頃の女なんですよ?」
こいつ、酒も飲めない年齢のくせに‥‥‥。
「なら、わたしはどうだ?」
コマドリが前に出てきた。
「うん。いいかもな。でもその衣装はダメだ。道着に袴じゃなくて、もっとセクシャルな服を着ろ!」
「な、何だ?そのセクシャルな服って?」
コマドリは急に慌てた。
「もちろん、娼婦に化けるんだよ」
「わたしがそんな格好をするとでも思うのか?」
「じゃないと、殺人鬼は出てこないぞ?」
「クッ‥‥‥、分かった。変装ぐらいしてやるよ!」
俺はルルチェの方を向いた。
「化粧はルルチェに任せた」
「いいわよ!色気のある顔にしてあげる!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!化粧もするのか?」
「こういうのは徹底しないとな」
俺は娼婦に化けるコマドリの姿を期待した。
これも作戦の内だよ?
マジで。
用事が済んだので、ようやく更新できました。読者の皆様には感謝です!!