第二十四章・引きこもりはしんどいよなぁ…。俺が言うのも何だが。
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第二十四章・引きこもりはしんどいよなぁ…。俺が言うのも何だが。
俺たち一行は、リンと対峙した。さて、どうしたものか‥‥‥。
攻撃を与えれば、すぐにでもコールドブレスで凍らされる。それは相手にとっては実に簡単なことなのだろう。
「ま、交渉といきませんか?あなたが持ってるというアイスクリスタルって宝石を頂ければ、すぐにでもお暇しますよ」
俺は営業のような態度で臨む。
「今まで冒険者が何人かここに来られたことがありますけど、あなた方と一緒ですよ。わたくしの持っているアイスクリスタルが狙いでした。どうしてそんなに欲しいのですかね?そんなに人間たちにとって価値のあるものなのでしょうか?」
知らん。
こちとらこんな凍る世界の住人と向かい合ってるだけでも緊張でションベンしそうなのに、そんな質問されてもどう答えていいのやら‥‥‥。
「この宝石でしょう?」と、手に持ったアイスクリスタルを見つめるリン。
あれが例の宝石アイスクリスタル‥‥‥。あれを手に入れるのが旅の目的だったが、あの地吹雪のリンとは戦っても俺以外は凍らされるだけだろう。でも倒すことはしない。
まぁ、戦わないに越したことはない。俺は冒険者だが、殺し屋ではないのだ。
「その宝石なんですが、あんたには持っている意味はあるんですか?」
さりげなく俺は訊いてみる。
「これがあれば、誰かが訪ねてきます」
え、それだけ?
「そうなんですか、それは‥‥‥」
そんだけじゃ意味分からん。
アレ?あんたそれって、ひょっとして寂しいんじゃ?
「確かにそれがあれば、それを狙う人が来るでしょうね。でも50年間もこんなところにいたのなら、それはそれで、アイスクリスタルを求めて来られる方は、さぞかし、たくさんいたでしょう?」
「ええ。確かにいろいろ来ました。冒険者や起業家や会社員や企業マンや政治家やサムライや浪人や専業主婦やモノマネ芸人や売れない作家やストーカーやインポッシブルなミッションをするスパイやジェイソン・ボーンや‥‥‥」
「いや、もういいです。いろいろ来たんですねー、ホント」
相手にしてやれない。
「これだから引きこもりは‥‥‥」
「引きこもり、ちゃいます」
いきなり訛ったぞこの魔族。
「いや、あのね…あんたを見てると昔の俺を見てるようで痛いんだよ‥‥‥。いや、そんな昔じゃないけど。最近だけど。俺だって本当は外に出たかったよ?友達と一緒に過ごしたかったよ?遊びに行きたかったよ?ちゃんと卒業したかったよ?でも、別にマンガ、アニメ、ゲームの三種の神器に身を落としたくはなかったけど、人生は自分の思うままにいかないんだよ!だから、一緒にここを出よう!俺が外に連れて行ってやるよ!」
こんなことしか言えない俺だが、でも言ってやった。俺は自分に甘く、人にも甘いんだ。それを今、フル活動してやる!俺はあの時、寂しかった!だから、それでも俺はそんなあんたを放ってはおけないのだ!!
「生きろ!あんたは美しい!!」
俺の言葉に、そこにいる全員が凍り付く。いや、空気的な意味で。
「わ、わたくしは、そんなにそんな言葉をかけてもらえたのは初めてです」
え?
「で、でもわたくしは、外に出て、どうすれば?」
「次の魔王を探すんだよ。その旅に出るんだ!」
なんという口からの出まかせな俺。でも、これでいい。
「旅には目的が必要だ。俺はいつも冒険をする理由をこじつけて旅をする。俺も行き当たりばったりさ。『冒険やめた』はいつも封印するよう頑張っている。言ってるだけでは簡単だからな。でも、俺もあんたも一緒さ」
「目的を得れば、引きこもりから脱出できる?」
「ああ」
俺はうなずいた。
「俺が出来たんだ。あんたは元魔王の幹部だったんだろ?なら出来るさ!」
リンは、手からアイスクリスタルを落とした。
転がる宝石は、俺の足元にまで転がってきた。
「わたくしにはもう、その宝石は必要ない、ですね?」
「ああ、まぁな。自分で決めるのが筋だが、決して自分の判断に正解を求めないことだ」
「分かりました。ありがとう」
俺はリンに勝ったのか?だとしたら儲けものだが。
これでアイスクリスタルを手に入れることができた。
俺たち、元魔王の幹部の一人に勝利したぞ!いや、かなり変則的過ぎるけど。
俺は後ろの三人に、笑顔を見せたが、戦う態勢でいた三人は、戦闘態勢を解くには時間がかかった。本当にお前ら戦うつもりだったんだな。危機感のあり過ぎる仲間だな、ホント‥‥‥。
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