第二百四十七章・さぁ、シア・ラースへGO!
今年は風邪引かないように注意します。読者の皆様には感謝です!!
第二百四十七章・さぁ、シア・ラースへGO!
旅の途中だった。俺はふと疑問に思った。
「なぁルルチェ、これってダ・ガールの同盟国からの依頼なんだよな?」
「ええ、そうよ。他に何があるっていうのよ?」
「こんな内政干渉みたいなのって、俺たちに依頼されるものなのか?」
ルルチェは少し、考えた。
「そうね、でもダ・ガールからの依頼として扱われているのが現状よ」
「俺たちって、都合よく使われてる気がするんだが‥‥‥」
「あら、冒険者が冒険を選べる立場だと思って?」
そう言われると、辛いが。
「まぁ、ホントに久しぶりの旅なんだしな」
「そう思うことね。内政干渉なら、同盟国になったリタ・エールなんかは、今は悲惨よ。リタ・エール税というのが、あの国に導入されたのは最近で、記憶に新しいんだけれど、民衆に収入や資産を提出させて、それによって税金を徴収する制度を作ったから、ほとんど税と称した略奪をする行為なのよ」
「え?」
あのリタ・エールが?
ルルチェは続ける。
「重い税に苦しむ民は暴動を起こしたことがあるんだけれど、そのほとんどが鎮圧されてしまっているの。それをどうにかしたいのが、わたしなんだけれど、そういう依頼は無いから、実質、黙認するしかないの。わたしたちが手を出せば、それはれっきとした内政干渉になってしまうわ。だから、どうすることも出来ない」
「そうなのか‥‥‥。今、リタ・エールはそんなことになってしまってるのか」
「この数か月でね。だから、お父様はもう、リタ・エールとの同盟は決裂しようかと検討している最中なのよ」
「それほどひどい国になったのか、あの国は。でも、それも俺たちのせいもあるんじゃなかったっけ?」
「どうだか」
そういえば、ルルチェは前に、リタ・エールの王子と結婚させられようとしたんだっけな。こいつからすれば、複雑なのだろう。それに逆らって、戦争まで起きたんだし。
俺もその戦いには参戦したのだから、なおのこと気まずいしな。
これ以上は、あの国のことは話題にしないようにしよう。
俺たち一行は、西の方角にあるシア・ラース王朝へ向かって歩いていた。
「それよりも‥‥‥」
「ん?」
「シア・ラースは男尊女卑を、女の方が認めている、フイ・ティークとは真逆の思想を持った国なんだろ?」
「ええ、そうね。でもまだ、魔王がいなくなって50年しか経ってないし、そういう思想は必ず残るものなのよ」
「俺は歓迎されるのかな?」
「どうかな?わたしのような姫君まで、男性の三歩後ろを歩くことが、女性のたしなみと言われているわ」
「その国ではか?」
「ええ。男性は立てるべきなの。女性は男性より前に出てはいけないの。結婚して、子供を産んで、育てながら、男性を陰で支えることが、シア・ラースの思想だから」
「今どき、そういうの、流行らないと思うけどな。馬鹿馬鹿しい!」
「その代わり、男性はちゃんと、女性を守るにふさわしい人物にならないといけないから、男性もホントは大変なのだけれどね。ヘタレなんかは女性からは見向きもされないわ」
「それはそれで、嫌な発想だな!」
俺はヘタレでいいのか?
「人類学上、間違っているということは無いわ。それが事実だもの」
「お前はそういうのを納得してるのか?」
「どうかな?わたしはわたしよ!」
こいつは完全には納得してはいないだろうな。
ただのお姫様ではないのだし。
だいたいこいつは姫でもあるが、賢者でもあるのだ。
賢者がそういうことに納得はしないだろう。
ただの実存主義者なだけだと思う。
ルルチェはいずれは、自分の生き方を選択する気に違いないのだから。
今年は無理のないように、ボチボチやっていきたいと思います。生き急がないようにしないとですね。