第二百四十二章・戦う意味って何だ?
今日は正月の三が日の終わりですね。皆さんどうお過ごしでしょうか?読者の皆様には感謝しかありません!!
第二百四十二章・戦う意味って何だ?
俺がライカンどもの死骸を運んでいる時、ベアトリアースが俺に話しかけてきた。
「リューイチ」
「よう、戦いは全勝のようだな」
「お前がわたくしも戦闘に動員させたおかげで、魔族たちと戦う羽目になりましたよ」
そういや、こいつも魔族だったな。
「いや、サンキュな。お前もいてくれると、こういう時、さすがに助かるよ」
ベアトリアースは、ハァとため息をついた。
「で、そっちも倒してしまったのでしょう?」
「リュクタアールのことか?まぁな」
「リューイチもえげつない奴になりましたね」
えげつないか、俺?
「でも、敵わないと知ってて、どうして向かって来るんだろう?そんなに挑みたいのか?」
「魔族の中には、人間に支配権を取られることに、納得いかなくて、割り切れない者もいるということなのです」
「そうなのか‥‥‥」
「そうです。お前はそれでも魔族を倒した」
「確かに‥‥‥。そういう奴を斬ったのが、俺か」
「でもですよ?そうしないと誰もついて来てはくれません。お前がチートだから、皆は安心してパーティーを組んでいるんですよ?」
俺はそういうのは納得いかない。そういう性質だ!
「別にそれだけじゃないだろう?」
ベアトリアースは少し笑った。
「お前は冒険者でしょう?だったら割り切りなさい」
「まぁ、俺は最初からチートだったからな‥‥‥」
「お前は実は、人望があったのですね。戦になれば、仲間の心配をする、とかですね」
「それは買い被りだと、俺は思うがな」
俺はぶっきらぼうに答えた。
「皆は俺が守らなくても、ひとりでやっていける奴らばかりだから、信用してるんだよ」
「それも、今の時代には古い考えの、義理人情って奴の一つですね」
「そんなんじゃないよ」
そんな、アメリカの戦争映画でありがちな、仲間のために戦うんだ!とか、そういうんじゃないんだ。
「俺は自分のために戦うだけさ。その中に、仲間がいるってだけさ」
「そう言っても、お前は自分を偽れはしないでしょう」
「そうかな?」
「ええ、そうですよ。今の時代には無い、魅力を持っている。そう思いますね」
「ありがとよ!」
俺は調子に乗って、礼を言う。
それにしても、魔族でも、やっつけるにふさわしい奴もいるモンだ。それで言えば、あのリュクタアール・エズモンドは、その類だろう。
ベアトリアースとは違う。
それを俺は思った。
ライカンのような魔族の獣人も、皆に倒させてしまった。
あの敵どもも、モンスターとは違うが、倒してもいい魔族なのか?
それを決める線引きは分からないが、ダ・ガールや、民衆たち、それにケイトのような存在を脅かす連中は、倒さなければ、解決できないだろう。これは必要な戦だった。
まぁ、戦争というものはそういうものだ。
綺麗事だけで、人は守れないのが現実だ。俺も意義のある戦いばかりなら良いと思うが、今回のように、相手を倒すために戦わないといけない戦闘は、俺にも降りかかってくる。
誰かが言ってたな、身に降りかかる火の粉は払えと。
俺のかつてのキックボクシング部の顧問だったような‥‥‥。
皆さんにとって良い一年になることを祈っています。読者の皆様に幸あれ!!