第二百三十九章・ダ・ガールの酒祭り〈後編〉
正月一日目は、四話更新。これは初めてのことです。初詣のお供にどうぞ!!
第二百三十九章・ダ・ガールの酒祭り〈後編〉
ダ・ガールのお酒祭りは賑わいを見せていた。しかし、いろいろと問題は起きているようだった。
この国での未成年であるイーゼルが、かなりアルコールでやられたようだ。
「リューイチ、ちょっと!」
今度はルルチェだ。
「どうした?」
「コマドリが泥酔しちゃったみたい!」
「あいつ、飲めないクチか!」
「少量で酔っちゃったみたいなの」
おいおい。
「こっちはイーゼルが、高アルコール度のアイスクリームを食べてしまったみたいで、イーゼルも大変なんだ」
イーゼルはフラフラになり、俺の胸に飛び込んで来る。
「リューイチ!」
「ば、バカ!こんなところで‥‥‥」
俺にしがみつくイーゼルを抱きとめると、か細い体が俺に体温を送る。
これはこれで、ちょっと感動があった。
いやいや、そんなことはどうでもいい。
この酔っ払いめ!
俺はアイスクリームを台の上に置くと、イーゼルを介抱する。
「大丈夫かよ?」
「ええ、リューイチに飛び込んできて正解ですぅ」
へべれけになっているようだ。
まったくタチの悪い奴だ。
ルルチェの方も、コマドリが今にも吐きそうなのを、背中をさすって介抱している。
あっちの方はルルチェに任せよう。
ゲロられたらばっちいしな。
「この酒祭りは酔っ払いの巣窟かよ?」
イーゼルは俺に甘えてくる。
「こいつもホント、隙のある奴だよな」
「スキがあるって何ですか?好きってことですかぁ?」
「いや、違う。そういうんじゃない」
「じゃあ、わたしのこと、嫌いなんですか?」
「そういうことじゃねーよ!」
「好きですよ!大好き!」
その気持ちは本当に嬉しいんだけどな。
「この酔っ払いの魔女め」
「はい、わたしは最強の魔女です」
「うるせーよ、まったく!」
ルルチェがコマドリを、お手洗いに連れて行くのが見えた。トイレで吐かせるつもりなのだろう。あっちはあっちで迷惑な酔っ払いだ。
「イーゼル、お前も部屋に戻ってろ!」
「部屋でわたしに何をする気ですか?」
「何にもしねーよ!」
「嘘ですぅ。絶対にエッチなことするに決まってるんですから!」
人聞きの悪いことを!
「さぁ、早く部屋へ行くぞ」
「リューイチのエッチ!」
こいつはもう、酒は禁止な。
俺はイーゼルを部屋まで連れて行って、ベッドに寝かせた。無防備にベッドの上で、寝転がるイーゼル。
こんな姿してたら、ホントに襲われるぞ!
まぁ、これで朝まで起きないだろう。
やれやれだぜ、まったく。
酒も大概にしないとな。俺やルルチェはともかく。
そうこうしているうちに、お酒祭りは、さらに賑わっていたようだ。
俺は広間に戻った。
「ルルチェ、そっちはどうだ?コマドリは?」
「まだお手洗いで吐いてたわよ」
俺もルルチェも、だんだん酔いが回ってきた。
「酒はもういいよ」
「そうね。わたしもこれ以上は‥‥‥」
俺もルルチェも、もう酒は控えた。
俺たちまで酔っぱらったら最悪だしな‥‥‥。
そんなこんなで、ダ・ガールの酒祭りは終わりを迎えた。
今年もこの小説をよろしくお願いします!!どうぞ、ごひいきに(笑)