第二百三十八章・ダ・ガールの酒祭り〈前編〉
新年企画。今日はまだ更新します!!初詣で並ぶ間にでも、読んでくれると嬉しいです!!
第二百三十八章・ダ・ガールの酒祭り〈前編〉
俺たちはダ・ガール城に戻った。もう夕方も過ぎる頃だ。
夕暮れから夜になると、城の広間では、なにやらお酒をたくさん準備していた。
「ルルチェ、ここで何が始まるんだ?酒だらけだぞ?」
俺はルルチェに訊いた。
「ああ、今日は季節限定のお酒祭りがあるのよ」
「お酒祭り?」
俺たちは、まだ未成年だから、酒は飲めないぞ。
「てか、季節限定って、この世界に季節はあるのか?」
「まぁ、ほとんど季節というか、四季はほぼ無いけどね。でも気候の変化はあるから、そう呼んでいるのよ」
「ほー」
「その気候の変化で、お酒造りがされてるのよ」
「ま、でもどうせ、俺たちは未成年だからなぁ‥‥‥」
「あら、この国では十六歳からお酒を飲んでも良いのよ?」
「へー!」
じゃあ、今ここで飲めるのは、イーゼル以外の皆じゃないか。
「イーゼルは十五歳だから無理だな」
「わたしはお酒には興味ありませんから」
と、こぼすイーゼル。
俺も、実は酒を飲んだことは、ほとんどない。
俺のいた世界では、お酒は二十歳になってからだったので、未成年の俺は飲むことは出来なかったのだ。
まぁ、飲みたいと思ったことは無いが。
「酒ってのは、利き酒でもいいんじゃないか?」
俺は酒が並ぶ台の上を見ながら、ルルチェに言った。
「そうね。ちょっと味見してみない?」
「ああ。少しは興味あるから、もらうことにするよ」
俺は手にした小さなガラスのカップに、樽から出した酒を、ちょっとだけ注いで、口に当ててみる。
意外にも、飲みやすかった。
「これはイケる!」
ルルチェも少し飲んでみた。
「ホントね。これは口当たりが良くて、おつまみが欲しくなるわ」
オヤジっぽいセリフを吐くルルチェ。
「おいおい、大丈夫かよ?」
「これぐらい平気よ。もっと飲む?」
「ああ」
俺はけっこう利き酒で、いろいろな種類の酒を試してみた。
酒ってけっこうイケるな。
「これはフレーバーが良い」
違う酒をまた飲んでみた。
「うん、美味い!」
その時、アイスクリームを食べていたイーゼルを見つけた。
「イーゼル、楽しんでいるか?」
「わたしは未成年ですから、飲んじゃいけないんですよ」
「そうだったな」
少しすると、イーゼルの様子がおかしいことに気づいた。
「ん?どうしたんだ、イーゼル?」
「え、はい。何だかわたし、おかしいみたいです」
自分で言うのはどうかと思うが‥‥‥。
「そのアイスクリーム、どこにあったんだ?」
「はい?ああ、お酒の台ですよ。アイスクリームコーナーにありました。はは‥‥‥」
俺はアイスクリームを取り上げた。
少しスプーンで掬って、食べてみる。
「これ、アルコール入りだぞ!」
「そうなんですかぁ?」
「しかも、アルコールかなり強めだし」
「あら?じゃあ、わたしはお酒を口にしちゃいましたかぁ?」
「そうらしいな」
なんてことだ。イーゼルが酔っちまったようだ‥‥‥。
初詣は明日行く予定なので、今日はまた更新させていただきますよ~!!ご感想やレビューもお待ちしております!!