第二百三十五章・結婚指輪という呪いの完全解除!
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第二百三十五章・結婚指輪という呪いの完全解除!
ルルチェの方も、結婚指輪は外れないらしい。
これは一体どうすれば?
このままダ・ガールに帰るわけにはいかない。
なんとかしなきゃ。
「これ、解呪は出来ないのか?」
俺はルルチェに言った。
「分からないわ。指輪をしていたことを、すっかり忘れていたし‥‥‥」
「ウェディングドレスは脱げたんだよな?」
「まぁ、結婚式は終わったからね」
「でも、指輪は一生ものだよなぁ‥‥‥」
「外れなきゃ、このまま結婚してしまうことにならざるを得ないわ」
「それだけは勘弁!」
俺は力を込めるが、指輪はビクともしない。
これは本当にマズい。
「じゃあ、教会に戻って何とかするか?」
「教会は、誰かさんが魔法でコナゴナにしちゃったわよ?」
俺たちはイーゼルの方を見る。
イーゼルも顔が青ざめている。
まぁ、イーゼルを責めてもしょうがない。
別の方法を考えよう。
「他にどうすれば外れるかな?」
俺は外すのを諦めない。
「ルルチェ、どう思う?」
「そうね、呪いと言っても、種類が分からないと解けないからね」
「じゃあ、ベアトリアースに頼むとか‥‥‥」
「魔族よりも、この指輪ってのは、もっと神聖なものだから、わたしたちで解くのが筋だわ」
「そうは言ってもな」
俺はもう一度、指輪を外そうと、引っ張ってみるが、全然ダメだった。
薬指から外れない。
どうする?
「じゃあ、わたしが引っ張りましょうか?」
イーゼルが名乗り出てきた。
「お前の力じゃ、無理だろ」
「力ではありません。これは呪いなのですから」
「そうは言ってもなぁ‥‥‥」
「やらせてください」
イーゼルは真剣な顔で言った。
まぁ、そこまで言うならいいだろう。どうせヤケクソだ。
イーゼルが指輪をつかんで引っ張る。
スポンという音がして、指輪が取れた。
「あれ?」
俺たちはポカーンとする。
「取れた‥‥‥」
俺は言葉を失った。
「どうして?」
自分で引っ張っておきながら、イーゼルも唖然としていた。
「じゃ、ルルチェの方も‥‥‥」
ルルチェの指にはめた指輪も、イーゼルが引っ張ると、ポンと外れた。
「一体どういうこと?」
ルルチェも分からないって顔をした。
何か、特別なことをしたっけか?
俺は考えた。
俺が自分で外そうと、頑張ってみても、指輪はビクともしなかったのに、イーゼルが外そうとしたら、外れた。
「要は、第三者が外そうとすると、取れたんだな?」
まぁ、そういうことか。
呪われていない者が外そうとすれば、外れたってことでいいのか。
つまり、呪われていた俺やルルチェには、外すことが無理だったわけだ。
呪われていないイーゼルが引っ張れば、外れる。そういうことだったのか。
なら、コマドリが外そうとしても、外れるわけだ。
簡単なことだった。でも、思いつきもしなかったことだ。
「で、外れたこの二つの指輪はどうする?」
両方の指輪を預かったコマドリが、俺たちに訊いてくる。
「誰かにやれよ。もうその指輪は、指から外れた時点で解呪されたんだ。もうただの指輪さ」
俺は薬指を指でさすりながら、言った。
「ま、誰か欲しがるだろう」
コマドリは、二つの指輪をしまい込んだ。
ちゃんとした結婚指輪だろうからな。捨てるには惜しい品だ。
解呪成功!
ようやく俺たちは、ホッとした。
それでは良いお年をお迎えください。続きは来年、更新します。正月は休むかもしれませんが。