第二百三十四章・俺とイーゼルの複雑な気持ち。
今年も今日で終わりですね。大晦日。皆さんはどう過ごされますか?平成最後の大晦日です。
第二百三十四章・俺とイーゼルの複雑な気持ち。
イーゼルはむくれていた。俺がルルチェとキスをしてるところを見たのだ。これは本当にマズい。イーゼルの気持ちを俺は知っていながら‥‥‥。
イーゼルは本当にご機嫌斜めのようだ。
それを俺は察する。
「イーゼル、怒ってるのか?」
「いいえ。別に」
そう言えるような顔をしていない。
「ホントに俺もルルチェも運が無い。あんなところでいきなり、偽の結婚式を挙げなけりゃならなくなったんだからな」
「本当にそう思っているのですか?」
「そうだよ。俺はルルチェと結婚なんか‥‥‥」
なんか、言い訳がましくなってきたな。
「相手がお前だったら良かったのに」
「そう思ってるんですか?」
「そりゃあ、あんな結婚式、確かにニセ婚だけど」
「でも、結婚の儀式的には、正式なものだったのでしょう?」
「そうだけど、でも俺もルルチェもお互い本気じゃなかったんだし」
「リューイチはそうなんですね。でも、ルルチェは本気かどうか分かりませんよ?王族の立場上、そう言ったかもしれませんし」
「それは無いよ。だってあいつは誰とも結婚する気は無いんだし」
「どうしてそんなことが分かるのですか?」
「彼女はニュータイプな女だから」
「どういうことです?」
「ルルチェはいずれ、ダ・ガールの女王、いや、キングになるつもりなんだ」
「キングは男性でしょう?」
「いや、クイーンになるんじゃない。本気でキングを目指してるのさ。これは本当だ!」
俺はルルチェを冒険者として迎え入れたのは、姫としての下命ではなく、もちろんギロチン刑にされたくないからだけでなく、純粋にいつか王としての地位を築き上げるために、今は一緒に旅をしているのだ。それにダ・ガールのお妃様との約束でもあるからだ。ルルチェは王国のために、大賢者になるつもりでもいるのだ。だからこそ、俺はルルチェにこの旅を続けてもらい、賢者の道を極めさせてやりたいと思ってるのだ。それが彼女の未来だからだ。
「イーゼル、考えてみろ。ルルチェが俺の嫁になるのが想像できるか?」
「いえ、それは‥‥‥」
「考えられないだろ?俺とルルチェの夫婦模様なんて」
「はい」
「だから、そういうことだよ」
「分かりました。リューイチを信じます」
うん、それでいい。
「まったく、散々な呪いだったぜ」
俺は疲れていた。気持ちがだが。
「結婚式なんて、もうこりごりだ」
「え?」
イーゼルはその言葉に反応した。
「リューイチ、結婚はもうしないんですか?」
「いや、結婚はしたいけど、結婚式は、あんな目に遭った後は、けっこうキツいってだけだよ」
「そ、そうですか‥‥‥」
「いや、したいと思ってる人がいる限り、するとは思うけど、ああいう呪いによっての結婚式は、もうたくさんだって意味だよ」
「そ、そうですか。そうですよね!」
イーゼルはやっと、ホッとした顔をした。
俺はやっとこさ、安心してイーゼルに接することができたようだ。
「まぁ、俺たちは、仲良くやろうぜ!な、イーゼル」
「ええ。そうですね。分かりました」
俺はふと、考えた。あの時もし、教会に一緒に入ったのがイーゼルだったら‥‥‥、俺とイーゼルはもうすでに結婚していたのかもしれない。
そう考えると、俺は何だか気持ちが震えた。
いや、いい意味でだ。
ん、待てよ。そういえば一つ忘れていたことがあったな。俺とルルチェが指にはめた指輪だが、これ外れないぞ?
どうすんだコレ?
正月は三日ほど休みます。更新するかは未定です。よろしくお願いいたします。