第二百三十二章・こじんまりした結婚式。でもガチ!
今日は寒いですね。今年ももう僅かです。風邪などないように過ごしてくださいね。
第二百三十二章・こじんまりした結婚式。でもガチ!
教会の中にはウェディングドレスと、誓いの指輪が二つあった。
「おいおい、これでどうするってんだよ?」
「結婚式を挙げるしかないということね。まったく‥‥‥」
「それ、必要なのか?」
「それしか呪いを解く方法は無いみたいね」
ルルチェは頭を抱えた。
「おいルルチェ、ホントにどうする気だよ?」
俺は慌てた。
「まさか、ここで結婚式を挙げたら、法律的に認められるんじゃ‥‥‥」
「誓約書にサインすればね。でも、そんな紙は無いわ」
「じゃ、さっさと済ませようぜ」
「はいはい。じゃあウェディングドレスを着るから、あっち向いてて」
「お、おう」
俺はルルチェの姿から目をそらした。
モゾモゾと音がする。女性の着替えの音だ。
でも俺は紳士だから、いや、ムッツリかもしれないが、そこは察してくれ。男として、女性の着替えは覗かない主義だ。
「もういいわよ」
と、ルルチェの声で、俺は振り向いた。
「おお!」
ウェディングドレスに身を包んだルルチェは、綺麗な花嫁姿になっていた。
これは美しい!
花嫁さんってのは、夫になる立場から見たら、こうも美しく見えるのか。
「綺麗だよ」
俺は何を言ってるんだ?
バカか?
「リューイチ、わたしたちはここで結婚するのよ?」
「え?ああ。フェイクだけどな」
そう言った途端に、教会が悲鳴を上げるような声に包まれた。
すごい音だな!
いや、声か?
「リューイチ、これはホントの結婚よ!フェイクじゃないわ!」
ルルチェがそう言うと、悲鳴に似た音は収まった。
「ちゃんと、正式に結婚しろっていう呪いか‥‥‥」
「そうよ。正式に結婚しないと呪いは解けない」
「じゃあ、お前は俺と本気で結婚する気かよ?」
「そうよ!」
俺は絶句した。
おい、これはここから出るための偽の結婚だろ?
こんなことして、俺とイーゼルはどうなるってんだよ?
「リューイチ、ちゃんと花婿になって!」
「わ、分かったよ」
しょうがないな。
俺は置いてあった指輪を手に持って、祭壇の前にルルチェと一緒に立った。
「え~と、病める時も、健やかなる時も、それから何だっけ?」
俺は誓いの言葉を詰まらせた。
「互いを夫婦として、いつまでも仲睦まじく、でいいのかな?」
と、ルルチェ。
「さぁ?でもそれでいいんじゃないか?」
「じゃあ、誓います!」
俺もうなずいて、「誓います」と、言った。そして指輪を交換する。
お互いの薬指に指輪をはめた。
「まだ解けないようね」
「ああ」
呪いが解ける様子は無い。
「宣誓と指輪の交換。あと、何が足りないんだ?」
ルルチェが少し黙ってから言った。
「誓いのキス」
え、マジなの?
「そこまでやるのかよ?」
「こうなったらヤケよ!目をつむりなさい」
いやいやいや、こんなこと、ルルチェのような王族の唇を奪うなんて出来るわけがないよ!
でも、ルルチェは目を閉じて、俺の唇を待っている。
いいのか、ホントに?
俺は、そっと口づけをした。
その時、扉が開いて、光が教会の中に入り込んだ。
イーゼルとコマドリが中に入って来た。
何てタイミングだ‥‥‥。
読者の皆さんには感謝です!!