第二百二十一章・偽悪という生き方ですよ。
今日はクリスマス・イブですね。皆さん良いクリスマスを!!
第二百二十一章・偽悪という生き方ですよ。
偽悪とは、俺が見つけた処世術のようなモンだ。俺はイジメられた上に、『女子更衣室を覗いた』だの、『小さい娘を襲った』だの、知らぬ噂を流されて、それが学校中に広まって、俺は悪にされてしまったのだ。当然、女子たちからはゴミを見るような目で見られ、男子からは、『お前、変な宗教に入ってるんだろ?それって血を飲む儀式があるんだってな?他人の血を飲んでるのか、お前。キメェ!』とか言われたりもした。そしてそれを音速で噂として流されて、学校中でバカにされたのだ。それで引きこもりになって、学校中の皆を恨むこともあったが、それでは俺はダメだと思い、『そうかよ、俺が全部悪いんかよ。だったら俺が悪いよ!俺が悪だよ』と、偽の悪、つまり偽悪的に生きるようになっていったのだ。それが俺の処世術になったのだ。それが俺の偽悪だ。
フン、悪いか?
「偽悪はニセの悪であって、本当に悪いことをしてはいけない」
俺はキッパリと言った。
「自分の心の闇に見切りをつけることが大事だ。俺だってそれだけのことをされたが、悪になることは間違っていると思う。あんたは違うのか?それが婚約者のことを考えてのことだったのか?僧侶だったんだろ?」
「そうだな。わらわの負けだ。本物の悪になってしまったんだな‥‥‥。自分自身が」
「償え。それだけでいい。俺に言えるのはそれだけだ」
* * *
俺たちは全員、墓所の外に出た。墓所の中は空っぽになった。
墓所が見える崖の上に来ると、墓所を見下ろす。
「イーゼル、頼むよ」
「はい!」
イーゼルは最大の爆破魔法で、墓所をぶっ壊す。
ドーンと音を立てて、墓所は崩れ落ちた。
「これで終わりだな」
俺はつぶやく。
「いや、始まりだよ」
ゼンがそう言った。
「ゼロもこれで完全に死んだ。いや、あの時、過労死した時、もう死んでいたんだ」
「これで安心して、天に召されたということだよ」
「そうかもな。残りのゾンビどもは、わらわの責任で全部退治する」
「そっか‥‥‥」
ゼンは救われたのか?
それでも、罪は償わなければならない。
確かに女王が悪いのかもしれない。この国の法律が悪いのかもしれない。
でも、間違った行為に走ってしまったからには、自分を正さなければならないのだ。
まぁ、俺が言うのも何だが。
引きこもりに逃げたのは俺の自衛のためだが、ゼンはそういう逃げ道は無かったのだろう。
俺は運が良かっただけだ。うん、そうだ。ただ運が良かっただけなのだ。
ただそれだけで、人生が決まってしまうのは、何だかもどかしい気持ちになった。
いろんな人が、助けを求めるも叶わず、悪の道へと足を踏み入れるのが、世の常だ。
悲しいな‥‥‥。
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