第二百二十章・ゼン
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第二百二十章・ゼン
俺たちで、墓所の研究室を破壊していった。ゾンビ作る施設などぶっ壊してしまえ。
てか、「作ったものはブチ壊せ!」という、某フィンランド出身のアメリカ映画監督の精神で、すべてを破壊する。これが俺たちのエスプリだよ。ざまーみろ!
あ、その監督は今、中国で映画作ってる人なんだけど。
いやはや、その人はまた‥‥‥。
って、子供か俺は?
そして最後にイーゼルの爆破魔法でとどめだ。
爆破により、完全に粉々にしてしまうが、培養液に浸かっている化け物ゾンビのゼロだけは残ってしまった。
「こいつはどうする?」
俺はルルチェに訊いた。
「ああ、こいつは‥‥‥」
ルルチェはゼンの方を見た。
「ゼン、このゼロはあなたの婚約者を使った化け物でしょ?」
ゼンは黙ってこちらをジッと見ていた。
「こいつの頭を潰して、完全に殺してもいいよね?」
「婚約者ってどういうことだ?」
俺はルルチェに訊く。
「この化け物はゼンの婚約者だった亡骸を、ゾンビの化け物に変えたのよ。彼女自身がね」
「どうしてそんなことを?」
「それはわたしも訊いていない」
この機会に訊いてみよう。
「で、ゼン。なぜ婚約者だった奴をゾンビ化してしまったんだ?」
ゼンは重い口を開いた。
「わらわが彼と婚約していた時に、彼はフイ・ティークの女王に働かせられ過ぎたのが原因で、過労死してしまったのだ。それでその亡骸を一度、墓に埋めて、わらわはフランジータ寺院の尼僧になり、その後、古代の秘伝書からゾンビの作り方を覚えて、フランジータ寺院を出て、この墓所を牛耳り、ここを拠点に本格的にゾンビを作ることにしたのだ」
「つまり、女王への復讐心か?」
「そうだ!ミルア女王は男性を死ぬまで働かせる、恐ろしい女王バチ政策を打ち立てたせいで、わらわの婚約者は死んだんだ」
「そうだったか‥‥‥」
「ここは墓所だ。死体ならいくらでもある。だから、この墓所はゾンビの研究にはうってつけの場所だった。わらわは元から復讐のためにゾンビを産み出していたのだ。わらわは破戒僧なのだ!」
「でも、王国に復讐はいけないだろ?」
「復讐を考えて何が悪い?大切な人を失ったのは、わらわだけでは無いんだぞ?」
「でも、それが婚約者の死体をも使っての復讐ってのは、間違ってないか?それに外でもあんたが作ったゾンビたちが、関係ない人たちを襲って、さらにゾンビを増やしているんだ。それはどうする?」
「大事を成すためには、自分の婚約者を使うのも方法のひとつだし、悪を倒すのに犠牲は
必要なんだ。どんなに大事な人の亡骸であろうとも、その亡骸を犠牲にしなければならない時もある!」
そうは言うが、ゼンは苦しそうに言っていた。
本当にそれが本音か?
「ゼン、それを望んでいるのは死んだ者ではない。生きている者の欲求だ。それを間違えてはいけない!」
「なんだと?」
「生きている者がそういうことを考えてはいけない。俺はそう思う」
「ぎ、偽善者が!」
「俺は偽善で生きてるんじゃない。時代遅れの冒険者として、偽悪的に生きているだけさ」
「偽悪的?」
「ああ。俺だって許せないことを持って生きている。でも、それに対して復讐しようなんて考えはしない。しても無駄だからだ。心の闇を抱えていようとな」
そう、俺は違う。俺は悪く言われたら、自分から悪者というレッテルを貼って、生きるのだ。それが俺の信念だからだ!
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