第二十一章・冒険をやめるか、ヴァージョンアップをするか。
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第二十一章・冒険をやめるか、ヴァージョンアップをするか。
俺たちはドワーフと交渉をした。
何でもこの先は、氷の大地になるという情報をドワーフから聞いたからだ。
「えっ、じゃあ寒くなるの?」
「いや、凍る。寒さなど感じる前にな」
な、何ということだ!コタツに入りたい、そんな気分になった。
俺は寒いのが死ぬほど苦手なのだ。
あ、寒さなんて感じないんだよな?
つまり瞬間冷凍となるのだな。
もっと悪い!
死ぬということか。極寒の地で。
北極や南極どころのさむさではないということだ。
北極や南極に行ったことはないが‥‥‥。
でも修学旅行で北海道にスキー研修に行ったことはある。
たぶんだが、それの数十倍の寒さの大地ということだ。
マジ死ぬ。
「人が入ったことは?」
「あるぞ。何人かは。もちろん儂のおかげでだがな」
「ん?どゆこと?」
「儂の作った防凍着を着てれば死にはしないということだ。だが、地吹雪のリンという、元魔王の幹部クラスの魔族がいるのだが、その女が持っているアイスクリスタルは元の持ち主に返せば、位が上がるほどの褒美が王族にもらえるという話だ」
「元魔王の幹部?」
「ああ。地吹雪のリンは50年前に勇者に殺されなかった魔族の一人として、魔王討伐後に氷の大地にある氷の城に引きこもったというはなしじゃ」
引きこもりになったのかよ‥‥‥。
何だか親近感を覚えた俺だった。
「そのアイスなんたらってのを取り返したら、例えばダ・ガールの王族にでも渡せば、身分が上がるのか?」
「ダ・ガールというのはよく知らんが、身分も上がるし、金品もたくさんもらえるし、土地ももらえるという話だ」
俺はルルチェの方を見る。
良く知らないという反応が返ってきた。
でも、もしそれが本当なら、一生遊んで暮らせるじゃないか。
冒険なんかやめちまっても全然かまわないってことだ。
「よし、ここで足止め食らうよりは、その氷の大地へ行って、魔族の残党狩りしてもいいと思わないか?」
「言い方!」
と、コマドリが言う。
魔族の残党狩りはダメだったか。でも、討伐に行くのは本当の事じゃないか。
「まぁ、わたしたちで戦うのは冒険者としては当然の行いですけどね」と、イーゼル。
「冒険やめるわけじゃないけど、氷の大地とやらは危険過ぎじゃないのか?」
コマドリの意見も真っ当だった。
「じゃあ、どうする?冒険はここまでか?」
少しの沈黙のあと、ルルチェが「行きましょう、氷の大地へ!」と言った。
「そうだな。冒険再開だ!」
俺はドワーフの方を見た。
「おい、その防凍着ってのを人数分貸してくれ」
ドワーフは、「返しに来た奴はおらん」と言う。
「だが、売ってもいい。何か交換できるものやドワーフでも使えるコインなんかはあるか?」
「じゃあ、4000リールでどうだ?一着1000リールだ」
「よし、手を打とう」
そう言うと、壁に掛かっている防凍着のハンガーをいくつか取って来て、俺たちに渡す。
「サンキュな。これで俺たちヴァージョンアップだ!」
「礼はいい、それより魚の乱獲のことだが、オッサンも儂も見逃してくれるか?」
俺はルルチェの方を見た。
彼女はフッと笑いながらOKというサインを送った。
さて、行くぞ!次の目的地は氷の大地!
生きて帰るのが本当の目的だが‥‥‥。
ファンタジー冒険活劇になってしまってますね(笑)こんな感じで続きます。