第二百十七章・ゼン・サドラーとルルチェ。
夕方は、更新時間に間に合いました。あ、更新時間のことでメッセージをもらいまして、更新時間がズレても気にしないという内容に、すごく救われました。この場を借りてお礼を申します。ありがとうございます!!
第二百十七章・ゼン・サドラーとルルチェ。
「この人が、ネクロマンサー?」
ルルチェがそのことに反応した。
「自分の婚約者を殺されたのがきっかけで、死霊使いになったっていうの?」
「はい」
自分を疑うことなく言い返すゼン。
「わらわたちには〝死″というものは、ある意味ですが、大切なものです。人はいずれ死ぬ。それまでは大切に死を取っておいて、生きることが一番の大切なことなのです」
「それはもっともなことね」
ルルチェは正論を言うゼンに、賛同した。
「わたしたちも、いつか死が訪れるわ。その時が来るまで、生き続けなければならない。でも、ゾンビを作ることは賛同しかねるわ」
「死罪に値する者こそ、死だけでは足りないのですよ。ゾンビとして永久的に奴隷となる宿命にするのが、本当の上での罰なんですよ」
「じゃあ、わたしたちをここへ呼んだのは‥‥‥」
「ええ、いずれ冒険者たちがここを嗅ぎつけるのは時間の問題だと思って、こちらから先に呼び寄せたのよ」
「それって、つまり‥‥‥」
「あなた方にはここで死んでもらいます。犠牲は必要だと言ったでしょう?アラ、生け贄だったかしら」
ゼンの話はよく分かった。でも、冒険者を相手に何ができる?
「ゼン、あんたは遊びや趣味でゾンビを作ってるんじゃないだろ?」
俺は身を乗り出すように言った。
「ええ、当然です。趣味や遊びではない。わらわが責任を持ってゾンビを作ってるまでよ」
「それでゾンビたちが墓所から逃げて、市井の人たちを脅かして来たらどうするつもりだったんだ?」
「それも言ったでしょ。犠牲はあるもんだと」
「その人たちにも大切な誰かがいて、もしゾンビに殺されたりしたら、それこそ恨みの連鎖が始まるんじゃないか?」
「ゾンビなら、いくらでも殺せばいい。代わりになるのはいくらでもいる」
「そうじゃないと思うけどなぁ」
「いいえ、わらわがゾンビを作るのは、世直しのためよ」
やはり、ゾンビ映画でもあったが、一番怖いのはゾンビでなく、人間の方だと、俺は思った。
「じゃあ、ここで俺たちと戦うというのか?」
「手は打ってあります」
「え?」
その時、ゼンが懐から出した筒状の物を俺たちに向ける。蓋が取れて、金色の粉が吹きかかる。それを浴びた俺たちは、めまいがして、床に倒れた。
しびれ薬か?
意識は失ってなかったが、体がしびれて動かない。イーゼルもコマドリも体が動かなくなる。
しかし、ルルチェだけは自分の周りに結界を張っていて、難を逃れていた。
ルルチェのバリヤの対応が素早かったのは、ゼンが何かしてくることはお見通しだったということか?
ちょっと、教えて欲しかったぜ‥‥‥。
ルルチェはその場で、ゼンと対峙する。
「ほう。あなたは今の一瞬で反応が出来るほどの、抜け目のないお方なのですね、ルルチェ姫」
「残念!わたしはこれでも、れっきとした賢者よ」
「賢者様、わらわと一戦やりましょうか」
「望むところ!」
「では場所を変えましょう。わらわたちがゾンビの研究をしている部屋へ案内します。そこで一対一で戦いましょう。お仲間にはその間、手は出しません。でも、あなたの敗北の際には、ここで全員ゾンビになってもらいますから」
「けっこう!」
「では、わらわについて来てください」
ルルチェは、ゼンの後に続いて、石造りの廊下を歩いて行った。
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