第二百十章・悪気は無いんだ。これは事故だ!ホントだよ?
お約束の回でした。あ、今日Amazonから「ノー・マンズ・ランド」のブルーレイが届きました。名作です!!
第二百十章・悪気は無いんだ。これは事故だ!ホントだよ?
俺は、錬金の剣を持つと、泉で水を飲んでいたミルメコレオに斬りかかろうとする。
その時、ミルメコレオは、首を回し、俺の方を見る。
こいつ、チートの俺の〝気″に気がつかないのか?
まぁ、そのまま逃げてくれればそれでもいいのだが。
でも、先手必勝という言葉もある。
俺は錬金の剣を振り下ろし、ミルメコレオをぶった斬る。こいつも一応モンスターなので、倒されてコインへと変わる。
儲けもんだ。
さて、俺は無事に解決したという顔をして、三人を見た。
アレ?そういえば、三人とも裸のままだったのだ。玉の肌がキラキラと光る。全裸の女たちが、俺を見て、さらにもっと大きな悲鳴を上げた。
俺はすぐに、その場を離れる。
いやいやいや、覗きと違うよ?
だって悲鳴が聞こえたら、行くだろ?
それがホントにただのお約束だとしても。
まぁ、お約束だったのかなぁ‥‥‥。
十分後、俺はオアシスに戻った。
怒っている三人が、そこにはいた。今度はちゃんと服を着ている。
ああ、怖い怖い。
「すまん。だって悲鳴が聞こえたから‥‥‥」
俺は錬金の剣を置いた。
「覗かないって言ったのに、リューイチ、あなたは‥‥‥」
ルルチェが俺に言ってくる。
「いや、ホラ、誰かに身の危険があるとヤバいと思ってな」
「ヤバいのは、あなたよ!」
「いや、だってモンスターが現れただろ?」
「あの魔獣はただ、水を飲みに来ただけよ!」
「えっ?」
俺は驚いた。
水を飲みに来ただけのモンスターを斬っちゃうとか、俺って何て残酷なことをしてしまったのだろうか!
「で、でも、じゃあ、どうして悲鳴が?」
「イーゼルが驚いて、ちょっと悲鳴を上げてしまっただけよ!」
な、何だそれ?
「そうだったのか。いや、悪かった」
「ちゃんとそう思ってる?」
「はい‥‥‥」
「あなたは王族である姫の裸を見たのよ?分かってる?」
いきなり大げさだな。高貴なお方よ。
「それは眼福ってことでいいのか?」
「バカ!」
イーゼルがその時、フォローに入って来た。
「リューイチは覗きなんてしませんよ。ヘタレだから」
ヘタレだから覗かないって、それもどうかと思うよ?
俺って何なの?
「いや、イーゼルもすまなかったな」
「いいですよ。リューイチは助けに来てくれただけですから」
そう。そうなんだ!
分かってくれるじゃないか、イーゼル。
「まぁ、突然モンスターが現れたのは事実だからなぁ」
と、コマドリは言う。
分かってくれるのか!それは嬉しい。
「リューイチ、わたしはそなたを怒ったりはしないぞ。場合が場合だったのだからな」
「そ、そうか。分かってくれて良かったよ」
「もし本当に覗いたのなら、ちょん切ってるところだからな!」
え?ちょん切るって何を?
「そいつはどうも‥‥‥」
そうだな。セクハラ野郎にも容赦しなかった、こいつらのことだから、覗きに対してはそれ相応の裁きを下すところだろう。
こえーよ、ホンマに‥‥‥。
ルルチェもハァと、ため息をつき、俺に向かって「ホントにバカなんだから」と、言った。
「まぁ、許すわ。助けに来てくれたのは確かみたいだし」
そう思ってくれると有難い。
俺は誤解が解けると、安心してまた、毛布の上でくつろいだ。
殺されなくて良かったよ、まったく。
俺は殺しちまったけどな、ミルメコレオを。
懺悔‥‥‥。
いつも読んでくれる読者の皆様には感謝です!!