第二百六章・とりあえず城下へ!
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第二百六章・とりあえず城下へ!
翌日、俺たちは城を離れ、城下に来てみた。
果物屋で色とりどりの果物を見ていると、果物屋のオヤジが俺たちに向かって、
「何か良い品は見つけましたかな?女性のために!」
と、言ってきた。
やはり男性は皆、セリフの最後に〝女性のために!″を付けていた。
これがこの国の国策なのだ。
「息苦しいったら、ありゃしないわね」
と、ルルチェが言う。
「それもそうだ。昨日から、男性は皆、わたしたちのことを崇めまくってるけど、正直ウンザリだ」
コマドリもそう言った。
「そうですね。女性が上位という国もあって構わないんですが、この国はちょっと‥‥‥」
イーゼルもそう言う。さらに、こう言った。
「何か、逆に女性をバカにしてる気がしますね。不快です」
へ~、女子には不服なものなのか。与謝野晶子や平塚らいてう(ちょう)が今ここにいたら、大喜びしそうな感じだけどな。
「わたしが思うに、女性は、いや、真の女性というものは、自立を望むよりも大切なことのために存在しているのだと思う。それがどれだけ誠実なことか、それはどんな勇者よりも尊いのか、それを見つけるのが本当の女性というものだ。そう思う」
コマドリがそう言い切った。
「こんな女性上位政策は、わたしには息苦しいだけだ」
と、コマドリは続ける。
それにはルルチェもイーゼルも同意のようだった。
* * *
俺たちは城下を見回ってみた。
「墓所にはいつ行く?」
俺はルルチェに訊いた。
「そうね。昼過ぎには出発しましょう」
「昼過ぎか」
「ゾンビは夜に活動するのよ。夜までに着けばいいわ」
この世界でのゾンビってそういうものなのか?
まぁ、俺が映画やドラマで観たゾンビ映画では、昼夜関係なく人を襲ってくるものだったんだけどな。ここではそうじゃないのか。
それはそうか。ゾンビの解釈もいろいろある。噛まれたら、その人もゾンビ化するとかは、映画の中だけのことなのだ。頭部が弱点というのも映画やドラマの中の話なのだ。
たぶん‥‥‥。
「みんな、ゾンビには気をつけてね。ゾンビは頭部を潰さないと死なないの」
ルルチェが言った。
あれ、そこは同じなんだ。てか、ゾンビはもう死んでるから、死なないというのはどういうことだよ?
「ゾンビってのは魔族じゃないんだろ?」
俺はルルチェに訊いた。
「ただの蘇った死体よ。ドクロの墓所では死んだ人をゾンビにして、労働力にする研究もしてるの。その実験台になっていたはずのゾンビが数十匹ほど逃げ出したらしいの」
「そいつらにはどんな危険が?」
「ゾンビたちは人を襲うわ。噛まれた人もゾンビ化する」
オイ待て、それはフィクションの中のゾンビだろ?
「ゾンビはゾンビパウダーという粉を使って、生きた人間を仮死状態にしてから、そのまま土に埋めてしまうの。ゾンビパウダーは危険な猛毒が含まれる粉よ。そして腐ってきたら、別のゾンビパウダーで、今度は蘇らせるの。そして人間のための死んでも死にきれない労働者として、永久的に働かせる奴隷にしてしまうのよ。その研究の途中で、ゾンビたちが逃げ出してしまったって話よ。噂ではね」
「なるほどな。噂か」
ゾンビというものがいろいろごっちゃになってる気がするが、ゾンビはゾンビに違いはないってことか。
なら、戦いは避けられないだろう。
読者の皆様に幸あれ!!