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第二百四章・賛美されるべきは女性?〈前編〉

今度はシア・ラースの考え方とは逆の思想を持った国が登場です。このエピソードもしばらく続きますので、お付き合いください。あ、昨日のアクセス数が1772ありました。これは過去最高のアクセス数です。本当に本当に読者の皆様のおかげです!!励みになります!!ありがとうございます!!

第二百四章・賛美されるべきは女性?〈前編〉



 俺は男であるがゆえに、フイ・ティークでは雑に扱われた。それはこの国では常識なのだ。

「女王様、一応、代表者は俺なんですよ?」

「あなたは顔からしてヘタレです。どうせ旅の荷物持ちなのでしょう」


 ひでーな。


「いや、冒険を始めたのは俺ですし‥‥‥」

「ならば、ともに旅をしてきた、そこの三人に感謝することですね。あなたのようなヘタレを旅のお供に連れて行ってくれたのですから」


 それ、逆だと思うんだけどな‥‥‥。


「俺はイーゼルやルルチェ、それにコマドリも大切な仲間だと思っています」

「当然です!女性に命を懸けれない男は、男性失格ですよ」

「もちろん、命は張ってます」

「それは特別なことじゃないですよ。それが本来在るべき、男性の姿なのです。お分かり?」

「いや、言いたいことは分かるけど‥‥‥」

 これ以上は無駄のようだな。


 俺たちはフイ・ティーク城に一泊することになった。俺は粗末な部屋に案内される。

 ホントに俺の扱われ方、雑だな。


 他の三人は、スイートルームにでも泊ってるのか?


 この差は何だ?

 ま、いいけどね。


 衛兵のひとりが、食事を持ってきた。城の中で出される食事ではなかった。囚人食かよ?

 別に贅沢したいわけではないのだが、これはちょっと違うと思う。


「料理をお持ちしました。女性のために!」

 女性のためにとは何だ?


「あ、どうも」

 俺は頭を下げる。一応食事を持ってきてくれたのだから。

「いいえ、冒険者のお方。女性のために!」

 また言いやがった。

「その語尾は何?」

 俺は衛兵に訊いてみる。

「これがこの国での話し方なのです。女性のために!」

「いや、それ、鬱陶しくない?」

「確かにそれはあるかもしれませんが、この国の法なので。女性のために!」

 何でだよ。

「話す時、絶対に最後にその言葉を言わなくちゃいけないの?」

「その通りです。女性のために!」

 本当に徹底してるんだなぁ。

「それ、お客の俺も言わないといけないのか?」

「そんなことはございませんが、市井の人たちも男は皆、そう言うように法が敷かれているので、この国の男みんなが言わないといけないのです。女性のために!」


 どんだけ女性を持ち上げてんだよ?


「すごい法律ですね」

「とんでもないです。女王様がお決めになった法ですから。それを守るのが、我々国民の男たちですので。女性のために!」


 なるほど。ここまで徹底的にやらないと、男は女について行かないからか?

たぶん、そうだ。

あの女王のことだから、これは女性蔑視という観点から敷いた法律ではないのだ。これが当然で、正しいことだと思っているがゆえの法律なのだ。


「男性は女性のために、死ぬ覚悟でございます。女性のために!」


 セリフの最後に‶女性のために!″を付けるのは、フイ・ティークの中だけだと思うが。

 ま、いいや。

 

 女性上位社会というものも、これはこれでちゃんと秩序として機能しているのだろうから。もちろん違和感はあるが、チートでもない俺が、もしこの国の男だったら、本当にゴミを見るような目で見られるだろう。

まぁ、俺がいいという物好きな女性もいるかもしれないけど、そんなのは可能性ゼロに近いだろう。


 ん?そういえば、素朴な疑問が俺の脳をかすめた。


「衛兵さん、訊きたいことがあるんですが」

「何でしょう?女性のために!」


 それ、もう怪しい宗教臭い。でも、この国の法律なんだよなぁ。言ってもキリが無いなぁ‥‥‥。



感想やレビューも頂いて、本当にこの小説を読んで頂いてるんだなぁと思うばかりで、恐縮です!!読者の皆様に幸あれ!!

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