第二百二章・そっとしておいてやろう。レッシーもイーゼルも。
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第二百二章・そっとしておいてやろう。レッシーもイーゼルも。
レッシーはすぐにその身を水の中に隠した。いったい何だったのだろう?
俺たちに姿を見せるとは。
イーゼルは俺の胸に飛び込んできた。
いやいや、そんなに大げさなことじゃないだろ?
イーゼルの体の温かみを感じる俺。
「イーゼル、もう安心だよ」
俺はイーゼルを落ち着かせた。
頭を撫でてやると、イーゼルは、俺から離れた。
「で、結局あれは何だったんだ?」
忍者刀を納めるコマドリが、言った。
こんなところで戦闘をおっぱじめるわけにはいかなかった。
「魔物か、魔族か、モンスターか?」
「いや、古代の恐竜だよ」
「恐竜はこの世界では、モンスターとしてならいるはずだぞ?」
「ああ。でも、あの恐竜は違う。あれは生きた化石なのさ」
「生きた化石?」
「そうだ。だから、そっとしておいてやるのが一番なんだ」
「リューイチがそう言うなら‥‥‥」
まぁ、あれがもし俺のいた世界で、ネッシーとして見つかっていたら、実験材料にでもされていただろう。俺のいた世界の方が、案外残酷なのかもしれない。
「今日はもう寝よう。明日に備えるんだ」
「このキャンプで眠るのか?」
「大丈夫だよ。レッシーは俺たちを襲うようなマネはしない」
俺たちは散らかしているものを片付けると、キャンプで眠った。
* * *
次の日の朝、湖をあとにした俺たち一行は、やがて広い場所へと出た。ここは州境のようだ。
フイ・ティーク王朝の領地へ入ったのだ。
「ここから先は、フイ・ティークだぞ」
イーゼルがそばにやって来て、俺のあとに続いた。
「まずは王都に行くんですね?」
「ああ。まずは王都だ。初めて行くがな」
「わたしもです」
そういえば、最初に会った時からイーゼルは、魔法の杖のような物を持っているが、それは一体何に使う物なんだろう?
いや、今さら疑問に思ったのだが。
「イーゼル、訊いてもいいか?」
「はい、何でしょう?」
「その杖って、魔導書を持ってるお前が、どうして持っているんだ?」
「ああ、これですか?」
イーゼルは持っている杖を目の高さにまで持ってきて、言った。
「これは杖の先に魔法石を埋め込んである、魔法の杖です。里を離れる時、魔導書と一緒に持たされました」
「へー」
「念じれば、この杖で魔法が使えます。ただし、レベルがそれなりに無いと、操るのは困難です」
「そうか。でももう、今はかなりのレベルになってるんじゃないか?」
「それはそうですけど、使うにはコツがいるんです」
「コツ?」
「ええ。わたしは魔導書に頼っていたので、杖で魔法を使うのは、下手なんですよ」
「そういうのに上手いも下手もあるのか?」
「はい」
じゃあ、その杖はただの飾りか?
まぁ、いいけど。
「それで、いつ使えるようになるんだ?」
「そ、それは、訊かないでください」
女子が、訊かないでと言えば、俺は訊かない。てか、男子は訊いてはいけない。
女の子は秘密がいっぱい。それでいいのだ。
それこそ、隠したいことなどは、山ほどあるに違いない。
興味本位で訊いてはダメなのだ。それを俺は思った。
読者の皆様に幸あれ!!