第十九章・からくり巨大ザメとか聞いたことも無いモンスターなんだけど……。
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第十九章・からくり巨大ザメとか聞いたことも無いモンスターなんだけど……。
ルビの町を出てから四日後。
森を抜けると大きな湖に出た。
水のにおいがすると言うコマドリが行く方向へ歩くと、本当に湖があったのだ。
忍者の嗅覚はすごい!と、俺は感心した。
コマドリによれば、においや音の判断、さらには視力も鋭い感覚になるような修行をしているかららしい。
これは戦い以外の能力と言ってもいいことだ。
彼女の戦闘力よりも、そういった感覚の敏感なことの方が、とても役に立つとでも言っておこうか。
俺はコマドリを仲間にしてよかったと思うべきだ。
義理人情にも厚い存在でもあるからな。
さて、この湖は浄化されているのだろうか?
まれに池や湖に毒を入れる集団があると、コマドリは言った。
水に口をつけてもだえ苦しむのはまっぴらゴメンだ。
死にはしない毒でも、山賊なんかが自分たちの縄張りを示すために、自分たちには効かないが、耐性のない人間や動物、モンスターなどには有効な手口で毒を撒くことがあるそうだ。危険だな。
賢者であるルルチェならと思い、水の質を確かめてもらおうとしたが、先にコマドリが湖の水を手ですくい、微弱なにおいと味覚で確かめた。
大丈夫なようだった。
よく見ると、湖には魚の群れがたくさんいるのが見えた。
こんなに魚がいたら、漁業が栄えるんじゃないか?
そう思っていた時、俺は対岸のところに一人のオッサンがいることに気付く。
そのオッサンは、水の中に手を入れたかと思うと、何やらヒレのようなものがすぐ近くに出ているのを見つける。
何してんだ?
俺は様子をうかがった。
俺以外の他の三人は湖の水で手足を洗っていた。
気付いてないのか、あのオッサンに。
次の瞬間、そのヒレが動き出し、湖を回っていく。
何だあれ?
よく見ると、それはサメの形をしていた。と言ってもサメにしてはサイズがデカい。
ホホジロザメの数倍はデカかった。
何だ?メガドロンか?
だが、サメはモノコック構造で、まるで機械仕掛けのようだった。
その巨大ザメが大きく口を開けて、湖の魚をたらふく口に入れていた。
イーゼルたちもサメに気付く。
「何でしょうか、アレ?」
「ん?」
コマドリが顔を洗っている手を止め、顔を上げる。
「魚?」
「あれはサメっていう水生動物ですよ」
と、イーゼル。
コマドリはサメを今まで見たことがなかったらしい。
「ただのサメじゃなさそうだぞ?」
俺は三人に言った。
「リューイチ、あなたサメを知ってるの?」ルルチェが訊いてくる。
「まぁ、海洋ドキュメンタリーとかテレビで観るの好きだったしな」
「海洋‥‥‥何?テレビ?」
「スマン、それは忘れてくれ。でもサメは知ってる、けど、あんなに大きくて異様なサメを見るのは初めてだ」
「モンスターなのか?」と、コマドリ。
「いや、でも魚の乱獲だな、ありゃ」
「あの対岸にいるオッサンがか?」
オッサンって、いや、俺も心の中でオッサン呼ばわりしたが、そのままオッサンとか言うのかコマドリよ。
さて、あのオッサンに近づいてみようと、俺は提案する。
湖を回り込めば対岸には行ける。
移動魔法でもあればすぐに行けるのだが。
俺たちは湖に沿って対岸に行く。
とたんにオッサンは逃げ出した。
やっぱり乱獲だな。
俺は残された巨大ザメの方を見る。
こいつは何だ?やはり大きさだけじゃなくて、本当に無機質なもので作られた、からくりのようなサメじゃないか!
こいつを作ったのは誰だか知らないが、まさかこの時代にAI機能の生きているようなロボットザメがいるとは信じられない。
「イーゼル、こいつをミサイル魔法で爆破しろ!」
「え?は、はい!」
イーゼルは魔導書を出して、ミサイル魔法の呪文を唱える。
「ファイヤウィル!」
ミサイルは巨大ザメに向かって飛んでいった。
ドカーンという音が三回鳴り響き、からくり巨大ザメはバラバラに吹っ飛んだ。
やはり生き物ではなかった。モンスターでもないのでコインも残さない。
こいつを作ったやつはいったいどこに?
俺たちは破片が湖に沈むのを見続けていた。
「よし、あのオッサンを追うぞ!」
俺は珍しくリーダーとしての指揮を執った。
なんか、これはこれでカッコイイかも?
読者様は神様です!!