第百九十八章・ダ・ガールから北西の国フイ・ティーク王朝へ!
今日は遅めの更新です。誠に申し訳ありません。読んでくれる人たちには感謝しかないです。
第百九十八章・ダ・ガールから北西の国フイ・ティーク王朝へ!
翌日、俺はダ・ガールの王様に呼ばれた。
「今日、文が届いたのだが、我が国の同盟国であるフイ・ティークから、冒険者に来て欲しいと書かれていたのだ」
時代遅れの冒険者に用事とは、どうもキナ臭いな。
ちなみに、キナ臭いとは、火薬のにおいがするという意味から、事件などの物騒なことが起こりそうな気がするという心配のことだ。
「何かあったんですか?」
「うむ。その国の領地にある北の方へ行くと、とある墓所があるんだが。そこは代々、葬式のがひっきりなしにある墓所なのだ。葬式で賑わう墓所でな」
「葬式?墓所?」
それだけ聞いてもキナ臭い!
「それで、僧侶たちが守っている墓所、ネクロポリスのことだが、そこで不穏なことが起き始めているということだ」
「不穏なこと?」
「ゾンビが現れ始めたというのだ」
いやいや、ゾンビはないだろ。
「ゾンビがいずれ街に入れば、王都は大パニックだ。それを阻止して欲しいとのことだ」
「なるほど」
「墓所は通称ドクロの墓と呼ばれている。そこに墓守り人として、位の高い僧侶のゼン・サドラーがいる。その人にまずは会ってくれ」
「ゼン・サドラー?」
「ああ。元はフランジータ寺院の僧侶で、今はドクロの墓で守り人として、管理をしている尼僧なのだ」
なるほど、フランジータ寺院の関係者か。
説法でも唱えられそうだな。
「それで、俺たちはゾンビを全滅させればいいんですね?」
「う~む、それだけなら良いのだが」
ゾンビと戦うこと自体、良いことではないぞ?
と、いう俺の意見は口を閉ざして黙ってよう。
だいたいゾンビというのは、俺のいた世界では、ジョージ・A・ロメロという映画監督が作った、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』から来ている創作のモンスターだ。
まぁ、ドラゴンやエルフなんかも、創作のものではあるけど。
「とにかく、俺たちはその、フイ・ティークという王朝に行けばいいんですね?」
「そうしてくれると、こちらとしても面目が立つ」
メンツの問題なのかよ。
「分かりました。では三日後に旅立ちます」
「三日後か」
「はい」
俺は王様に頭を下げた。
* * *
俺は皆に、王様からの言葉を伝えた。やはり女子には受けが悪かった。
「ゾ、ゾンビって、あの腐った死体のですか?」
イーゼルの顔は、露骨に嫌がっているように見えた。
「だいたい、ネクロポリスって何だ?キナ臭いにもほどがある!」
コマドリのその反応は、女子としては正解。
「でもなぁ、これは生命力がはつらつとしているルルチェに期待してるんだけどな」
ヒーリングに長けた、ルルチェにはぜひ来てほしい。
でも、ルルチェの反応も、女子として正しかったのだ。
「ゾンビなんて気持ち悪い!それに怖いわ!夢に出てきそうで、絶対に嫌だわ」
そう。説得のために、三日間空けてもらったのだ。
俺は面白そうだったから、全然良いとして、まずは女性受けの悪いゾンビを相手にするという現実に目を向けさせることが目的なのだ。
俺は二日かけて、女子の皆を説得して、了解を得た。
クリスマス前で皆さん忙しいでしょう。無理のないようにお過ごしください。