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第百九十七章・俺は男だけど、仲間の三人の方がよっぽど怖いぞ?〈後編〉

シア・ラースのエピソードは、またあとで続きがあります。もっと後のことなので、しばしお付き合いできたらと思います。たくさんのアクセス数をありがとうございます!!

第百九十七章・俺は男だけど、仲間の三人の方がよっぽど怖いぞ?〈後編〉



 男尊女卑が強い国では、リストレア姫が言ってることの方が、もっともなどだろうが、それについては男性はどう思っているのだろう?


 新しい女性の社会は、女性自身がこれから作っていくことだよな。男性の支えを上手く活かして、互いを支え合う社会を目指すことだな。

俺は勝手にだが、そう思った。


 その時、アイラの姉が、俺のところへやって来た。

「あ、あんたは‥‥‥」

「わたしはマヤ・ベネディクトです。アイラの姉です」

 マヤは、昨日『ガルーダの食堂』に現れて、アイラを連れて行った、あの人だ。

 確かにマヤと名乗っていたしな。

「今日はリストレア姫の演説の日だったので、言わせてもらいます」

「え、何を?」

 俺は委縮した。なんか目つきが怖いんだよ。


「女は女らしく。それがわたしたち女のモットー。逆に言えば、あなたは男なのに男らしくない、ヘタレに見えます」


 ほっとけ!


「家庭に入るのが、女の仕事にして幸せ。女性のあり方など、考えてはいけないのです。男に従えということが、女の役目なのです。でも、あなたは従うに値しない。男性失格です!」


 うるせーな。


 俺は男子力が足りないというのか。それはまぁ、そうだけど。自分のことは自分で分かっているさ。でも、これが俺なのだ。

「女性ってのは、あんたにとってはそういう存在でいいのか?」

「わたしだけではない。世界中の女性たちがそうあるべきなのだ!」


 この人も、アイラも、リストレア姫の主張の虜になってるんだな。

でも、俺は俺をイジメた女子たちに恨みを持ちつつも、これからは女性の時代じゃないかと思っていたのだ。


 イーゼルもコマドリもルルチェも、皆が俺に従っているほど主張のない奴らじゃない。だいたい、みんな強いし、怒らせれば怖いはずだ。それが俺が思う女性像だ。


「冒険者の女はその存在からして強く、気高いぞ?」

 俺はルルチェたちを指さして、言った。


 あいつらを見れば、それは自ずと分かるだろう。


「ふん、戦争が起きれば、女性を守るために強い男性たちが戦ってくれるだろう。それが現実だ。女性が戦場に戦いに行くことはない。違うか?男の背中は女性が隠れるためにあるんだ」

「戦争が起きないように努めるのは、女性も男性も一緒だろう?」

「しかし、話し合いが通じない連中もいるだろう?それで攻めてこられた時、まず戦うのは誰だ?男だろう?」

「そこまで完璧に男女の差で分けることはないだろ?」

「いいや。それこそが本質なのだ」

「女性が虐げられるのは良いことなのか?」

「生命がこの世に生まれてからどれぐらい経ったのかは分からないが、長らくメスがオスを支配していたのだ。それが、オスがメスを支配してきた歴史は、実はずっと浅い。メスはオスをもっと立てなければならないのだ」


 どこまでさかのぼってるんだ?てか、そんな悟りの境地みたいなの、人間が持つには早すぎるだろう。


「シア・ラースって国が、どういう国なのかは分かったよ。それで、それを世界に広めようとしてるんだな?」

「ああ。男も強い男が、この世界を支配すべきなんだ。この世は弱肉強食の世界なのだから」

「まぁ、頑張ってくれ。強い男が上の社会をもっと理想実現するために」

「ヘタレに言われたくない。どうせあなたも女性に媚びる、ただの弱い男だろ?そんな男はこの世にはふさわしくない。消えな!」


 喧嘩でも売られているらしい。

 でも、この喧嘩は買ってはいけない。

 俺はそう思った。


 その日のうちに、シア・ラース・ア・リストレア姫は、アイラとマヤを連れて、国へ帰っていった。またどこかで、演説するのだろう。


 こっちはこっちで、男女のあるべき姿は模索していくよ。覚えてろよ?



読者の皆様に幸あれ!!

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