表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/479

第百九十六章・俺は男だけど、仲間の三人の方がよっぽど怖いぞ?〈前編〉

シア・ラースの話は今後も出てきます。女性の方に特に読んで頂けたらと、思います。男尊女卑は現代でも根強いですから。


第百九十六章・俺は男だけど、仲間の三人の方がよっぽど怖いぞ?〈前編〉



 翌日、シア・ラース王朝から来たシア・ラース・ア・リストレア姫が、城下でステージの上に立ち、大きな声で演説を行った。

「皆さん聞いてください!わたしたち女性は、男性の横に座るものです。決して並んで座るものではありません!男性が座ったところに女性が座るものなんです」


 いいのか、あんなこと言わせておいて。

 俺は何だか不安になってきた。


「女性が男性の真似をして、社会進出?馬鹿馬鹿しいです、それは!それは男性が女性に対して配慮してこその社会進出で、男性失くして女性の社会進出はあり得ないのです。そこからもう、女性は男性に依存しているのです!戦争をして戦ったのは誰ですか?男性です。平和な秩序をわたしたちにくれたのは?もちろん男性なのです。世界にある少ない資源を奪い合って、わたしたちに届けてくれるのは、誰でしょう?男性です」


 おいおい、いいのかよ、そんなこと喋って?

 俺が女子なら怒り心頭だぞ!

 まぁ、俺は一応黙っておくけど‥‥‥。


「この城下を造ったのも、男性です。力仕事や危険な作業を率先してやってくれたのは?当然男性なのです!家を建てた大工は?男性です!危険な狩りをしてくれているのは?男性でしょう?泥棒を捕まえるのは?警察機構です。皆男性です。世界の秩序を守っているのは?男性でしょう?その恩恵で社会進出という建前の中で、仕事をしているのが女性なのです!」


 冒険者には女性もいますよ? 


 ブーイングが起こらないか、俺は心配だ。こんなこと言わせて、怒らない女性はいないだろう。でも、それでも黙って話を聞く民衆たちだった。


「男女参画政策など、馬鹿馬鹿しい!男と女は違うのです!女性の皆さん、男性を称えましょう!そして男性に従い、女性としての本来の幸せを手に入れるのです!子を産んで、育てて、男性を支えましょう。それで愛を勝ち取れるのです!それでみんなハッピー!ハッピッピー!!」


  超アホらしい話だが、それでもこの世界は、男尊女卑が強い社会なのだ。

 男は強く、女は優しくがモットーなのだ。

 こんな世界に俺は来てしまったということか。


 反論するだろうと思っていたルルチェやイーゼル、コマドリたちも、静かだった。

こんな時、反論するのはあの三人だろうと思っていたからだ。

怒らせたら怖い三人だからな。


 まぁ確かに、歴史的に見ても、男女同権なんて、歴史が浅すぎるとは思うが、この世界でもそういう考えはあって当然ということか。


 こいつは辛辣だなと、俺は思った。女性は怒っていいと思うぞ?


 人種差別に女性差別、いや、これはこの世界では皆、納得して生きているのだから、差別とは思ってないのだろう。

時代が古すぎる‥‥‥。


 まぁ、確かに俺の世界でも、コンピューター作業や事務仕事などもあるが、実際に会社というものを作ったのは誰だ?椅子やテーブル、パソコンを作ったのは誰だという、根本の話になってしまう。


 子供を産めるのは女だけだから、子供を産むことが女の仕事と言われているのは、何を隠そう、俺のいた世界でも、ほぼ同じなのだ。


 それほど女は認められていない。それが今の社会というものなのだ。


 レディースデーや女性専用車両なども、男が女性に対して配慮したもので、女性がそれを作ったわけではないのだ。


 でも俺の信じる仲間たちも、みんな女性なのだから、女性は本来強いということを主張したい。


 イジメを受けて、苦しませてくれた女子たちに対しても、俺は恨みはしたが、それでも多くの女性に自分の生き方を模索してもらいたいと、考えてはいる。

こんな息苦しい世界など、変えちまえ!


 イーゼルたちは、笑ってリストレア姫の演説を聞いていた。たぶん、あの三人は心に余裕があるのだろう。俺なんかよりずっと強い。

そしてダ・ガールの女たちも心が大らかなのだろう。


 演説の最後らへんは、もう皆、しらけていた。


 こうなると、ダ・ガールのみんなはもう、分かっていたのだろう。

 

 リストレア姫の侍女だったのだろうアイラと、その姉がステージに立ち、「もうそろそろお時間が‥‥‥」と、声をかけていた。


長い演説は終わりを迎えた。


 あの姉妹も、小さい頃からああいう教えを叩き込まれて育ったのだろう。

 今なら分かる。


 しかし、あんなに俺を、イジメで苦しめた女子も、大変なのだなと思った。


 俺のように、女子を恨んでいる男からしたら、いろいろ思うことはあるが。

それでも、この世界に来てからは、女子の強さは、計り知れないと、俺は思うようになった。


世の女性たちは、女性たちで生き方を決める時が来ているのだ。


今がその時だ!

それをちゃんと知ることだな、シア・ラースの姫よ。



自分も含めて人間は、心のどこかで男尊女卑の気持ちを持っているものです。それを洗いざらいぶちまけて、そこからスタートしようと思ってます。なので、しばらくこのエピソードにお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ