第百九十三章・吸血鬼VSヴァンパイアキラー?
ちょっと早いですが更新します。皆さん読んでくださいね!!
第百九十三章・吸血鬼VSヴァンパイアキラー?
ケイトは夜中に目を覚ました。横でミイラのシーイが眠っている。
起き上がったケイトは、外の異様な気配に気づく。
誰かがこの土地のどこかで、大規模な戦いに参加しているのだと思った。どうせ、さっき言っていたヴァンパイアキラーとかいう連中の攻撃に対して戦ってるのだろう。
まぁ、自分も他人事ではないということは、キチンと感じてはいるのだが。
戦いは軍や冒険者の仕事だ。
もっとも、この世界に冒険者など、数えるほどにしかいないのだ。そして、冒険者は廃れていく一方、それに固執する輩がほとんどなのが、この世界の常なのだが。
しかし今、冒険者がまだいるってことは、いずれはまた、魔王のような存在が出てくるかもしれない。
だからこそ、この太平の世でも絶対に安心できないことに違いは無いのだから、その冒険者という存在は、絶対に絶えないものなのかもしれない。
自衛という意味が、いつでも無くならないのは、それも必要悪のひとつだろう。
ケイトは、またベッドへ戻ろうとした。その時、コテージのドアから誰かが中に入ろうとしていたのに気がついた。
やはり、血の匂いに釣られてやって来たな。
吸血鬼は常に血の匂いを纏っているのだ。しかもかなり強い血の匂いを。
ケイトはドアが破られた音に反応した。尋常でない力だ。しかも、相手も血の匂いがする。ヴァンパイアキラーのひとりなのだな。
「わたしの血を求めて来たのか?」
相手は黒装束の黒髪ロング女だ。
「ほう。ここに吸血鬼がいるとはな。血の匂いを辿って来た甲斐があったな」
「あんたがリュクタアール・エズモンドか?」
「そうだ。ヴァンパイアキラーの頭首だ」
「イロモノ魔族には興味無いわ!」
ケイトは下がりながら言った。身の危険から自分を守ることも、鍛冶屋の役目だ。
決して弱いわけではない。戦わないだけだ。
しかし、自衛のためなら話は別だ。
「落ちぶれて、わたしの血を求めて来たのなら、筋違いというものだ。魔族が吸血鬼に血を求めるなど、共食いのようなものだぞ」
「知るか!わたしは魔族の中でも貴族階級にいたのだぞ。それを昔の勇者たちが魔王を討伐してから、行き場を失ったのは、わたしたちだけでは無かろう?」
「そうかもしれないが、わたしは自分で自分の居場所を見つけたから、今に満足している。あんたはどうだ?」
「わたしは枯渇している。血が欲しい。血が欲しいんだ!」
「強欲にまみれた愚者だな」
「血を、血をよこせ」
ケイトはゆっくりと下がった。その時、床で寝ていたミイラのシーイの腕に、足が乗ってしまった。
「あいたたたた!」
ケイトはシーイに気がつく。
「あ、すまん」
「痛みは無いですけど、一応人間的反応をしてみました。ところでお師匠様、そこで何をやっているんですか?」
「バカ!敵が来たんだ」
「敵?」
シーイは起き上がると、目の前にヴァンパイアキラーがいるのに気がついた。
「誰?」
「例のヴァンパイアキラーだよ」
「ああ、この人が?わたしがやっつけましょうか?」
「やりたいなら、やれ!」
「はい」
シーイはグーパンでリュクタアールの顔面に拳をヒットさせる。
「ぐわっ!こいつ、ミイラか?」
「そうですよ~。わたしには血は通ってませんから、あなたのことなんか全然怖くもなんともないですよぉ」
「チッ!」
リュクタアールは、コテージの外へ出ると、コウモリに変身して、飛んで逃げて行った。
「いつか必ず、わたしは戻ってくるぞ!覚悟しておけ、今度はライカンを連れてくる。いいな?」
捨てゼリフを忘れない、律儀(?)な奴だった。
俺たちがケイトのコテージにやって来たのは、そのあとだった。
決着はついたようだった。
「あのコウモリがリュクタアール・エズモンド?」
「ああ。逃げた」
俺が来た意味無くねー?
読者の皆様に感謝です!!