第百九十章・ダ・ガールの領地で、ヴァンパイアキラー軍団出現だと?
今日は寒いですねー。日曜日なのでゆっくりしたいです。でも書きたい。
第百九十章・ダ・ガールの領地で、ヴァンパイアキラー軍団出現だと?
俺たち一行がダ・ガールに戻ったのは、ダン・ルーエのスイーツ祭りから一週間が過ぎた頃だった。結局俺は、スイーツは全然食べなかった。俺はそこまでスイーツは好きではなかったからだ。でも、お祭り的な喧騒はけっこう良かった。
俺は引きこもりだったが、それは学校でのイジメが原因なのであって、本来は俺は騒がしいのは嫌いではない。静かなのも良いが、イベントも楽しく参加できる男なのだ。
俺以外の三人の女子は、たらふくスイーツを堪能したので、結果的にダン・ルーエに行って良かったのである。
いずれルルチェがこの国の王になったら、きっとスイーツ祭りのダ・ガール版を始めるだろう。しかも年に三回くらい。
それはそうと、ガス抜きが終わった後に、また問題が起こった。
ダ・ガールの領地に魔族のヴァンパイアキラー集団とかいう連中が入り込んできたというのだ。
ヴァンパイアキラーって何だ?ヴァンパイアってのは吸血鬼のことじゃないのか?
* * *
「吸血鬼といえば、森に住む、鍛冶屋のケイト・シュルエットが思い浮かびますが」
会議室で話に混ざってきたリエットが、言ってきた。
「それはお前のコネだろ?」
「コネとは失礼ですね。知り合いというだけです」
「それで、ヴァンパイアキラーってのは何なんだ?」
俺はめんどくさそうな態度で言った。少しは休みが欲しい。
その場にいたベアトリアースが語る。
「ヴァンパイアキラーというのは、人間も吸血鬼も襲って、全身の血を吸い尽くす恐ろしい魔族です。いったん狙われたら、最期ですね。人間だろうと吸血鬼だろうと死にます」
なんか、そういうの映画で観たことある。
「じゃあ、鍛冶屋のケイトにも危険が及ぶってことじゃないのか?不老不死でも殺されるってことだろう?」
と、コマドリが言った。
「狙われるってのは人間も同じですけどね」
ベアトリアースは笑みを見せながら言う。
何が可笑しいんだよ!
「冒険者や軍人は、死と隣り合わせだから、覚悟は出来てますが、一般の民衆はそうではありませんよ」
イーゼルが、もっともなことを言った。
確かにな。
だが、俺たちは修羅に落ちたのではない。魔族相手には、それなりの敬意を持って接していかなければならない。まぁ、その辺が俺のヘタレっぷりなのだがな。
しかし、俺のいた世界での歴史が物語っているように、戦いは恨みを生む。それを断ち切るために、かつての大戦の、ベルリン陥落や二発の原爆のとどめのように、徹底的に倒して、その膿を出し切るしか、手は無いのだ。それも今となっては正しかったのか議論の的は絶えないのが現実なのだから。
どうにも戦いは、むなしいものなのだ。それを俺は一番知っている。俺だってイジメで受けた傷は計り知れないし、それでも連中を恨むのが本当な道理なのかは分からない。
でも、これ以上罪のない人々を見捨てるわけにもいかない。葛藤に揺れる俺。
ダ・ガールを守るために、戦いも血を流すことも、民衆には味わわせてはならない。
そう俺は思った。
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