第百八十三章・戦いは、正々堂々と!
これから犬の散歩に行ってきます。読者の皆様には感謝しかありません!!
第百八十三章・戦いは、正々堂々と!
俺は金山を囲む、木で出来た足場の軸を、チート握力で折った。何とも、楊枝のようにポッキリと折れた。軸を失った足場は、奴隷たちや女兵士たちの重さで、バキバキと崩れていく。足場にいた人たちは皆、滑りながら地面へと落ちていった。
俺は、まだ崩れていない足場に飛び移ったエクル・エスペランザの方を見た。
しぶといな、あの女領主。
俺は崩れた足場を乗り越えた。奴隷たちや女兵士たちが、たくさん倒れている。ケガはしているが、皆生きているようだ。てか、それが狙いだったのだが。
ケガさせてごめんよ。でもこれ以外に方法は無かったんだ。
俺は崩れていない足場にいるエクル・エスペランザのところまで、登った。
相手は剣を出してきた。
俺は丸腰になっていたが、そのままエクル・エスペランザと対峙する。
「あら、そんななりで、武器を持ったわたくしと戦うつもりなのですか?」
「剣一本で俺を倒せると思うのか?」
「おしゃべりはおしまいです。いざ、尋常に勝負です!」
「どこが尋常だよ?」
俺のツッコみは無視された。
「剣は嘘をつかないのです!」
振り下ろされた相手の剣をかわす俺。
「お前は村人たちの災いだ。負けはしない!」
俺はエクル・エスペランザの使う剣術に押されたが、それでも一発も食らわない。
「そなたはなぜ、民を救う?」
「これは俺のカッコいいセリフなのだが、正義ってほどでもないんだが、悪い奴が許せないタチなだけなんだ」
決まり文句臭いが、これが俺の生き様なんだ。覚えておけ!
俺は相手の剣をつかむと、それを手から引っ張り外してやった。
飛んでいくエクル・エスペランザの剣。
それでも、相手は素手で俺に攻撃をしてくる。この女、拳法まで使えるのか?
俺は、適当に相手の拳やキックをあしらうと、一撃、腹パンをしてやった。
「女を殴るのは、趣味ではないけどな」
エクル・エスペランザは、足場から落ちる。
勝ったぜ!
俺はガッツポーズを取った。女を倒して、そんなに嬉しがるほどの鬼畜ではないのだが。
でも、お互いに正々堂々と戦ったのだ。
「大将の負けは決まった。これより金山は、カル・デールの王族が預かる!これ以上の勝手はカル・デールの法律に触れることを覚悟しろ!この宣誓は今後の法になると思え!」
結構前に観た、インド映画の超有名作からのパクリっぽいセリフを言ってしまったな。
決まり文句臭くて良いのだが。
そこへ、イーゼルが駆けつけてきた。
「イーゼル!」
「リューイチ、敵は倒したのですか?」
「ああ。下で倒れているはずだ」
その時、エクル・エスペランザの剣がイーゼルの脇腹に刺さった。その瞬間、時間が止まったようだった。そして崩れ落ちるイーゼル。
エクル・エスペランザの最後のイタチっぺだった。
俺は足場から、その光景を見ていた。どうすることも出来なかった。ただそれを見ているだけであった。何が正々堂々だ。そんなのは幻想でしかあり得ないのだ。
地面に倒れるイーゼルを見て、俺は叫ぶ。
「イーゼル!」
元々漫画家になりたかったので、物語を作るのが好きなんです。