第百八十章・エクル・エスペランザの金山へ!
今日はAmazonから「SPL 狼たちの処刑台」が届きました。あとで時間作って観ようと思います。昨日はたくさんのアクセス数をありがとうございます!!
第百八十章・エクル・エスペランザの金山へ!
俺とコマドリは、走って金山の方を目指した。すぐに見えてくる金山。そこは盛り上がった土の山に見えるが、その周りをたくさんの足場と、重労働にくたびれている人たちが、山を掘っていた。
「あれが見えるか、イーゼル?」
「コマドリのような忍者の視力ほどじゃないですけど、わたしの視力もナメないでください。ちゃんと見えてます!」
俺たちは、山の手前で止まった。
女が一人、行く手に立ちはだかっていたのだ。頭から長いローブを身にまとった、黒装束の女だ。イーゼルよりももっと年上の女のようだった。
「おっと!あんたがアンナとかいう魔女か?」
「ええ。もう知られているのですね。そうです。わたしは魔女のアンナです」
イーゼルが前に出た。
「リューイチ、ここはわたしの出番のようですね」
「いいのか、イーゼル?」
「はい。わたしが戦います。倒していいんですよね?」
「殺さないように‥‥‥とは言わない。自分を守ることを先に考えろ。できれば殺すな。それしか言えないな」
「では、わたしの判断で決めます!」
「死ぬなよ!」
「はい。行ってください」
俺はアンナの横を通り過ぎて、先を急いだ。俺はエクル・エスペランザのところへ行かないと。
* * *
コマドリとクローディアは、館の中で激しいほどに剣の打ち合いをしながら、あちこちの部屋を移動する。
「そなたのような剣士に会ったのは初めてかもな」
息を切らせたコマドリが、クローディアに対して言った。
「お前もなかなかの動きだな。その拳法めいた剣さばき、お前もただの剣士というわけではなさそうだ。そうだろ?」
「ああ。わたしは忍者だからな」
と、答えるコマドリ。
「忍者か。それでお前はなぜ戦う?」
「自分を高めるためということかな」
「では、わたしは殺すために剣を振るう。その差は出るものだ」
再び剣を交えるコマドリとクローディア。
わずかにクローディアが押している。
「どうだ。自分の実力を知ったか?」
「そうだな。わずかの差だが、その差が決定的な違いなのだな?」
「そう言ってくれたら、こちらも嬉しい。認めるんだな、おのれの実力を?」
「そうだな‥‥‥」
コマドリは剣の向きを下げた。
真の技の構えだった。
「その構えは?」
クローディアが訊いてくる。
「わたしは殺しはしない。でも、正当防衛はする」
「ほう。それでどんな技を出す?」
「見てるがいい。忍者の実力を!」
コマドリの剣が、揺れるように動いた。そしてコマドリの体も同時に揺れた。
川の流れるような、読めない動きだった。
クローディアは、コマドリの動きを追うことが出来なかった。その間に数回、斬られた。
クローディアは、膝をつく。
「この動きは?」
「これが忍者の動きだ。秘技だよ。名を『水連』!」
「スイレン?」
コマドリはさらに、クローディアの背後に回って、もっと斬り付けた。
「もう動けないであろう?これ以上はやめた方がいい」
「ふ、ふざけるな!」
クローディアは無理に立ち上がって、バランスを崩した。床に倒れるクローディア。
「これ以上は斬らない。斬ると、文句を言うヘタレが、約一名いるからな」
コマドリは、忍者刀を納めると、その場を立ち去った。
身動きの取れないクローディアだけが、館に取り残された。
「くそっ!こんなバカな!」
クローディアが叫ぶのが聞こえた。
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