第百七十五章・迷路は脱出不可能?
いつも読んで頂いている人たち、これから読んでくれるであろう人たちに幸あれ!!
第百七十五章・迷路は脱出不可能?
話が決裂の色を見せた時、ルルチェは立ち上がり、「行きましょう」と、言った。
「あら、もう行かれるのですか?」
エクル・エスペランザは、本気で言ったわけだは無いのだろう。妥協点くらいは考えていたはずだ。それでもルルチェは、俺たちを連れて、部屋を出ようとしていた。
俺たちはルルチェに続く。
「すまんな。あいつはああいう正確なモンで」
なぜか俺がフォローしている。
「いいですのよ。でも覚えていてくださいね」
「何をだ?」
「今度会った時は、わたしたちは敵同士だということをです」
ああ、これもお決まりなセリフだな。テンプレなるこの悪役感が半端ねぇ。
「じゃあ、そういうことで、俺たちは失礼するよ。こんな夜更けにすまなかったな。アディオス!」
「いいえ。ここでは暇を持て余してますから、それこそ領土拡大でもしてなければ、退屈極まりないわ」
「そっか。じゃあな!」
俺たちは、館を出ようと、もと来た道を目指して、トンネルの中に入った。
そういえば、この館の地下部分だと思うのだが、迷路になっているのを思い出した。
どこに行けば出口か分からん。それは他の三人も同じだった。
「出口につながる道ってどう行けばいいんだっけ?」
俺は先頭を行くルルチェの背中に向かって言う。
「どうしよう?」
さっそくルルチェは迷ったようだ。
気がつくと、俺がこっちじゃなかったかと思っていた通路には、壁があった。
「おかしいな。地形が変わってる」
と、思う‥‥‥。
「それ本当?」
「ああ。たぶんな」
俺たちは別のルートで出口を探す。
と、途端に、通ってきた道が、上から下りてくる大きな壁で、退路を塞いだ。
そして、別の壁が上に上がっていき、道を作る。
そういうことか。
俺はこの迷路の仕組みに気がついた。
これは立派なダンジョンだ。
さらに悪いことに、道が出来たり、塞がれたりしている。
これでは通ってきた道を逆にたどることも出来ないのだ。
さぁ、どうする?
「イーゼル、前にゴーレムと戦った時に使った、ダンジョン脱出の魔法を頼む」
俺の考えでは、それで出られるはず。
何せ、ここは迷路ではなく、ダンジョンなのだから、イーゼルの脱出魔法が通用するかもしれないのだ。
「分かりました。やってみます!」
イーゼルは呪文を唱えた。
「イエペリスタル・ホーマー・ザン・カルテギストーマ・レアレステル・リーマ」
俺たちの体が光り出す。
いつの間にか、俺たちは平野の上にまで、瞬間移動していた。
「成功だ!」
遠くにエクル・エスペランザのヴァンラード館が見える。
やった。脱出成功だ!
おそらく、エクル・エスペランザは、俺たちを相手にするに値するとでも思っているだろう。
戦いはこれからだ。覚悟しているんだぞ?
俺たちは、一度カル・デールに行くことにした。援軍も必要だし、こちらも用意周到なところを見せなければ!
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