第百七十四章・女たちの話に、俺いなくても良くね?
師走に入りました。これからもっと寒くなりますね。風邪には気をつけてくださいね。
第百七十四章・女たちの話に、俺いなくても良くね?
さっそく、俺たちは腰を落ち着けて話すことが出来た。椅子に座って、豪華なテーブルを囲み、本題に入る。
「あんたはこの土地を支配してるって?」
「あら、それは失礼ですね。わたくしはここの領主ですのよ」
そうは言うが、彼女は目をギラリとさせる。
こっちが本性か?
「ルルチェ、どう思う?」
ルルチェは俺に向かって笑みを見せた。
「ここからはわたし、ダ・ガール・フォー・ルルチェがお話します」
エクル・エスペランザは顔色を変えた。
「そなたはダ・ガールの?」
「ええ。姫です」
「王族の方が冒険者になってるなんて、知らなかったわ」
「それはそうでしょうね。わたしは王家の身分を封印していた時期がありましたから」
「どういうことです?」
「大賢者様のところで、五年間修行をさせてもらいましたから」
「大賢者?そんな人がまだこの世界にいらっしゃるというのですか?」
「ええ。そうです」
ルルチェは自分がナメられないようにと、口調を強めた。
「それでエクルさん、わたしたちはカル・デールの要請で、この領地に不正が無いか、調査に来たのです」
「調査?」
「はい。何でもここでは領土拡大のために、暗躍が行われているという情報を得てまして、わたしたちはカル・デールからの依頼で、この土地の様子を調べて、報告するように言われまして」
ルルチェの奴、口から出まかせ言うなぁ‥‥‥。
本来は討伐だぞ。
でも、円滑に話が進むのなら、それで悪くはない。
エクル・エスペランザは、う~んと言うと、首を天井に向け、フッと笑い、俺たちの方に目をやる。
「確かに領土の問題はありますね。でも、わたくしは本来もらうはずだった土地を、取り上げられたのです。わたくしの両親が亡くなったあとのことですが」
「え?」
「わたくしは正当な土地を手に入れるために、領土拡大をしていたまでです」
「でも、カル・デールに届けもしてないのに、勝手に拡張するのは違法です」
「書類のほとんどを燃やしたのは、カル・デールの役人ですよ」
「それは、あなたとカル・デールの間の問題です。このことは報告させていただきます」
「あら、意外と厳しいのですね」
「わたしも王族ですから」
「でも、まだ若いですね。今ある土地は渡すわけにはいかないです」
エクル・エスペランザは、両手を広げた。
「この土地を含む、カル・デールの北の大地はわたくしの物です!」
この女、しゃらくせぇ!と、俺は思った。
「ダ・ガール・フォー・ルルチェさんでしたね。強い女は大好きですよ」
「王族に負け犬はいないですから」
おいおい、ドラゴンのヴァーラントに攻撃して、負けちゃったこと、忘れてないか?
「では、あなた方はここで死ぬことになるのですよ?」
エクル・エスペランザは、脅しにかかってきた。
「それは本気ですか?」
「ええ。わたくしは目的のためなら‥‥‥」
「手段を選ばない‥‥‥ですか?」
「決まり文句かもしれませんが」
まぁ、そういうセリフはよく聞くものだ。フラグも立ったのかな?
「じゃあ、わたしたちはあなたのやっている、奴隷を働かせているブラック企業を潰させていただきます」
ブラック企業って‥‥‥。確かに今ではこの世界にも会社と名の付く企業などはあるが。
それでもこのファンタジー世界には違和感あるわ~。
「ま、そういう脅しには屈しないのがわたしの流儀ですから」
ルルチェが強気に言う。
何だか、俺たちの出番は無しみたいだな。
イーゼルは真剣に話を聞いていたが、コマドリは腕を組んで、ボーッとしてる。
俺ももう、あとはルルチェに任せることにした。
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